2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790790
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松永 和子 久留米大学, 医学部, 助教 (60333233)
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Keywords | COPD / キチナーゼ / マウスモデル / 併存症 |
Research Abstract |
ヒト肺サーファクタントプロモーター(SPC)を用いて恒常的に肺特異的発現する炎症性サイトカインIL-18トランスジェニック(TG)マウスを樹立した。このマウスの肺には大型の泡状肺胞マクロファージとCD8陽性T細胞が中心の炎症細胞浸潤と肺胞構造の破壊による肺気腫状の変化が病理学的に見られた。心臓は著明な右心不全と肺高血圧が確認された。興味深いことにこのTGマウスの肺には著明なIL-18の発現とともにTh1サイトカインIFN-gと同時にTh2サイトカインのIL-5,IL-13の発現を認めた。これらの研究結果をふまえ、最重症(GOLD Stage IV)の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺病変部を免疫染色法を用いて解析したところ、肺病変部には著明なIL-18の発現とCD8陽性T細胞の著明な浸潤を確認した。また血清のIL-18値はCOPD患者の肺機能(%FEV1)と逆相関していた。これらの研究結果はCOPDの発症や重症化にIL-18の関与を示唆するだけでなく、樹立したTGマウスはヒトのCOPDの病態に似ていることが示唆された。そこで本COPD動物モデルにおける病態を網羅的な遺伝子発現情報から考察するため、本マウスの肺組織の転写プロファイル解析を行った。TGマウスにおけるIL-18の発現レベルは、野生型マウスの5~7倍に上昇していた。また、多くの遺伝子に発現変動が見られ、週齢を重ねるごとにその数は増大し、変動幅も大きくなった。5,9,13週齢のいずれかで野生型マウスと比較して1.5倍以上のシグナル値変動があったスポットは約14%に達した。変動遺伝子の中でもっとも興味深かった遺伝子はchitinase 3-like 1(Chi3l1)/ヒトcartilage glycoprotein 39(gp39)とChi3l3の2つのchitinase関連遺伝子であった(論文投稿中)。
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Research Products
(2 results)