2010 Fiscal Year Annual Research Report
病原性放線菌ノカルジアのマクロファージ細胞障害性に関する研究
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21790791
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
石野 敬子 昭和大学, 薬学部, 准教授 (50332359)
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Keywords | 細菌感染 / マクロファージ / 細胞死 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
宿主細胞への細菌感染が誘導する細胞傷害性の分子メカニズムは、細菌の有する病原性の一旦を示している場合が多数存在する。本研究は、Nocardia farcinica IFM 10152のマクロファージ細胞への感染により、誘導される細胞傷害性の分子メカニズムの解明を目的とする。本年度は、1.N.farcinica IFM 10152の野生株と細胞傷害性を示さないノコバクチン生合成遺伝子破壊株をそれぞれマクロファージ細胞に感染させた場合の網羅的遺伝子発現変化、2.GO解析、3.定量的RT-PCRによる発現変化の検討を行なった。 1.N.farcinica野生株とノコバクチン生合成遺伝子破壊株をそれぞれ、マクロファージ様細胞J774A.1細胞に感染させた場合の宿主細胞の遺伝子発現の変化を、アジレント社製、全マウスゲノム遺伝子発現カタログアレイを用いて検討した。その結果、非感染細胞をコントロールとした時に、2倍以上の発現変化があった3219遺伝子のうち、野生株と遺伝子破壊株との比較でP>0.1の有意差があった遺伝子は121遺伝子だった。2.1で得られた結果をGO解析した結果、発現量に有意差があった遺伝子のうち121遺伝子は細胞接着関連遺伝子であることが示された。3.細胞接着関連遺伝子の発現変化を定量的RT-PCRにより検討した結果、感染後3時間で既に発現量に差が認められ遺伝子が見出された。ノカルジア感染が誘導する細胞死は感染20時間前後に検出されるため、これらの遺伝子発現変化は早期のイベントと言える。 以上より、ノカルジアの誘導するJ774A.1細胞傷害活性のシグナルの1つとして、感染初期における細胞接着分子の遺伝子発現変化を伴う、細胞接着系の破綻を介するメカニズムの存在が示唆された。
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Research Products
(3 results)