2010 Fiscal Year Annual Research Report
非アトピー型喘息患者におけるT細胞産生性の新規気管支収縮活性の同定
Project/Area Number |
21790792
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター |
Principal Investigator |
北村 紀子 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 先端技術開発研究部, 研究員 (80415603)
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Keywords | 非アトピー型喘息 / 遅発型喘息反応 / T細胞 / 気管支平滑筋細胞収縮 / コラーゲンゲル |
Research Abstract |
非アトピー型喘息患者では、あらゆる検査においてIgEが検出されないため、原因アレルゲンや病態、関与しているファクターについて不明な点が多い。従来考えられている肥満細胞を介した発作に至るセオリーだけでは説明がつかないケースや、既知収縮物質拮抗剤での抑制効果の不十分性などから、喘息発作に関与する新たなファクターの存在が示唆される。T細胞が、喘息悪化を助長する遅発型喘息反応を炎症性細胞や脂質メディエーター非依存的に誘発し得るとの知見から、T細胞産生性の喘息反応惹起物質を同定するため、T細胞培養上清中の平滑筋収縮活性について調べた。非アトピー型喘息患者末梢血リンパ球と遅発型喘息反応を誘発する抗原との共培養上清を回収し、正常ヒト気管支平滑筋細胞を包埋した3次元コラーゲンゲルに作用させて認められる収縮は、遅発型喘息反応の主な原因因子と考えられているロイコトリエンによる収縮パターンと同じ遅発型・持続型の反応であった。これらの活性は各種既知収縮物質拮抗剤で抑制されなかった。また、リンパ球の抗原刺激培養時に免疫抑制剤を作用させた上清においても平滑筋細胞収縮の抑制は認められなかった。これらの収縮パターンを持つThクローンを樹立し、その培養上清を各種カラムにかけて活性を調べたところ、陰イオン交換カラムにおいて、NaCl=25%分画に活性を検出した。さらに、この活性はゲルろ過カラムによって、既知収縮物質より高分子量であることが明らかになった。分子量や既知収縮物質拮抗剤/免疫抑制剤での抑制が効かない点などから、新規の気管支収縮活性である可能性が示唆された。引き続き、詳細な解析を行っていくことで、非アトピー型喘息における気管支平滑筋収縮原因物質のひとつを解明することが期待される。
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