2010 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性急性腎不全におけるL型脂肪酸結合蛋白の役割
Project/Area Number |
21790795
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80505892)
|
Keywords | 急性腎不全 / 敗血症 / バイオマーカー |
Research Abstract |
L型脂肪酸結合蛋白(L-type fatty acid-binding protein ; L-FABP)は、腎臓近位尿細管上皮細胞に発現しており、低酸素あるいは酸化ストレスに鋭敏に反応して尿中に放出されることが明らかとされている。また、虚血性急性腎不全あるいはシスプラチン腎症による急性腎不全においては、障害のごく早期から重症度に比例した濃度の尿中L-FABPが検出されることが報告されている。一方、実際の臨床でもっとも頻度の高い敗血症性急性腎不全においては、その病態形成において低酸素および酸化ストレスのみならず、炎症あるいは血管透過性亢進など複数の異なるメカニズムが複雑に寄与しているが、尿中L-FABPが早期に急性腎不全を検出し、さらに予後予測を高い精度で行えるかどうかは不明である。本研究では、ヒトL-FABPトランスジェニックマウスに対して敗血症を惹起し、L-FABPの急性腎不全を中心とした臓器不全の早期診断バイオマーカ』としての有用性を評価することを目的とした。盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture : CLP)モデルおよび気管内リポポリサッカライド(LPS)投与モデルを作成し、尿中L-FABP,NAGおよび血中BUN,クレアチニンを測定したところ、尿中L-FABPが最も早期に上昇し、臓器障害の程度および重症度とも相関を示すことが明らかとなった。さらに、敗血症性急性腎不全の臨床サンプルを用いた検討では、尿中L-FABPがAPACHE IIおよびSOFAスコアよりも高い精度で予後を予測できることを明らかとした。
|