2009 Fiscal Year Annual Research Report
代謝障害・慢性腎臓病に伴う高血圧における脳内酸化ストレスを介した交感神経活動亢進
Project/Area Number |
21790797
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 恵 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任助教 (50447405)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 生理学 / 内科 / 脳・神経 / 酸化ストレス / 交感神経 / メタボリックシンドローム / 慢性腎臓病 |
Research Abstract |
研究1「代謝障害に伴う高血圧における脳内酸化ストレス・交感神経活動亢進」【目的】私共は高血圧で脳内酸化ストレスを介した交感神経活動亢進が重要であると報告してきた。肥満高血圧において同様の機序が認められるか、更にインスリン抵抗性が関与しているか検討した。【方法・結果】4週齢SDラットに普通食(LF)もしくは45%高脂肪食(HF)を6週間負荷した群、HFと同時にpioglitazoneを経口投与した群(Pio)を比較検討した。HFでは内臓肥満、高血圧、インスリン抵抗性、交感神経活動亢進を認めた。Tempol脳室内投与に対し血圧・腎交感神経活動(RSNA)は低下し、その抑制効果はLFに比しHFで有意に大きく、HFの視床下部酸化ストレスは有意に増大していた。PioではHFに比し、インスリン抵抗性の有意な改善、有意な血圧低下、交感神経抑制効果が認められた。さらにPioではtempol側脳室投与に対する血圧・RSNA抑制反応、視床下部酸化ストレスが有意に抑制された。【結論】肥満高血圧では脳内酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動亢進が重要であり、この機序にインスリン抵抗性が関与していると考えられた。研究2「CKDに伴う高血圧における脳内酸化ストレス・交感神経活動亢進」【目的】生活習慣病との関連でCKDの重要性が指摘されており、CKDでも上記機序が関与している可能性を検討した。【方法・結果】3週齢SDラットに片腎摘、高食塩食負荷を行いCKDモデルを作成した。CKDではtempol脳室内投与に対するRSNA低下反応・降圧反応、視床下部酸化ストレスが有意に増大していた。【意義・重要性】代謝障害とCKDの共通背景として脳内酸化ストレスを介した交感神経活動亢進の関与を証明しつつある。抗酸化作用を有する薬剤による中枢性の交感神経抑制が、腎機能障害を含めた心血管合併症の新たな治療戦略となり得る。
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