2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790799
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
太田 哲人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00510356)
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Keywords | 高血圧 / WNKキナーゼ / 遺伝子改変マウス / Na-Cl輸送体(NCC) / アンギオランシンII / アルドステロン |
Research Abstract |
塩分感受性高血圧を引き起こす遺伝性腎疾患(偽性低アルドステロン症II型)の原因遺伝子がWNKキナーゼであるという報告をうけ、当研究室でWNK4病原性PHAIIモデルマウスを作製しWNK4-OSR1/SPAK-NCCリン酸化カスケードの亢進を発見し高血圧の原因であると報告した(Cell metabolism,2007)。次にこれまで不明であったWNK4の機能解析のためWNK4遺伝子改変マウスを作製し解析を行った。WNK4キナーゼノックアウトマウスは胎児致死であり、我々はWNK4低形成マウス(WNK4 hypomorphマウス)を作製。このマウスは血圧測定にて低血圧を呈し、低塩分食飼育下にてNa再吸収能が低下していた。またマウス腎におけるOSR1/SPAKキナーゼのリン酸化、Na-Cl輸送体(NCC)のリン酸化も減弱し、この解析からWNK4キナーゼはNCCに対して正の制御因子として機能していることが判明し報告した(Hum Mol Genet,2009)。Angiotensin II投与にてこのWNK4-OSR1/SPAK-NCCリン酸カスケード系が亢進、この系がAngiotensin II receptor blockerまたはaldosterone receptor blockerにて抑制され、この系の上流にAngiotensin II、aldosteroneがありWNK4制御に関与していることも報告した(BBRC,2010)。更にPHAIIマウスとOSR1/SPAKキナーゼ不活化マウスと交配しトリブルノックインマウスを作製し、PHAIIの表現型がOSR1/SPAKキナーゼ不活化マウスにより完全にブロックされておりNCCのリン酸化制御因子としてWNK4-OSR1/SPAKカスケードが主要経路であることが判明し報告した(JCS,2011)WNK4-OSR1/SPAK-NCCまたWNN1キナーゼについても検討し細胞外のK濃度によってWNKキナーゼの下流にあるOSR1キナーゼも調節されることを見出し報告した(Clin Exp Nephrol,2010)。以上よりWNKキナーゼが生体内での塩分調節系として血圧コントロールに関与していることが判明し、この系の抑制が血圧コントロールのメカニズムを解明する上でも重要であることが示唆される。
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