2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗エリスロポエチン受容体抗体の同定とその臨床的意義
Project/Area Number |
21790803
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原 章規 Kanazawa University, 附属病院, 医員 (70507045)
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Keywords | 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / 内科 / 免疫学 / 臨床 |
Research Abstract |
本年度は,抗エリスロポエチン受容体抗体をスクリーニングする前段階として,網赤血球数が低値である貧血を有する膠原病・自己免疫疾患,腎臓病ならびにがん患者を中心とした血清を収集した。また,スクリーニング系として,可溶性エリスロポエチン受容体を用いてELISA法および放射免疫沈降法を用いた。 その結果,解析した血清のうちの一部において抗エリスロポエチン受容体抗体が陽性となった。解析した症例のうちでは,本自己抗体は全身性エリテマトーデスにおいて最も高頻度にみられ,その他の膠原病・自己免疫疾患やがん患者においても陽性例を認めた。 これは,世界に先駆けて同定した内因性のエリスロポエチン受容体に対する自己抗体である。本抗体の生物学的活性が証明されれば,慢性疾患に伴う貧血に代表されるエリスロポエチン低反応性を伴う貧血の新たな病態となる可能性がある。さらに,本抗体の測定系を応用することにより,将来エリスロポエチン低反応性のスクリーニングが可能になることが推測され,本知見は意義深いものと考えられる。 来年度は,同定した抗エリスロポエチン受容体抗体の生物学的機能の解析と臨床的意義を検討する。具体的には,試験管内において,同抗体のEPO受容体を発現しているヒト白血病細胞株AS-E2の増殖に及ぼす影響を検討する。また,本抗体を有する患者の臨床特性を検討するために,診療録を用いて,骨髄像や末梢血の血液・生化学・免疫血清学的所見について,抗体陰性症例と比較検討する予定である。
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