2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗エリスロポエチン受容体抗体の同定とその臨床的意義
Project/Area Number |
21790803
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原 章規 金沢大学, 附属病院, 助教 (70507045)
|
Keywords | 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / 内科 / 免疫学 / 臨床 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に同定した抗エリスロポエチン(EPO)受容体抗体の生物学的機能の解析と臨床的意義を検討した。抗体の機能解析方法として、試験管内において、同抗体が陽性となった患者血清のEPO受容体を発現しているヒト白血病細胞株AS-E2の増殖に及ぼす影響を検討した。また、本抗体を有する患者の臨床特性を検討するために、診療録を用いて、骨髄像や末梢血の血液・生化学・免疫血清学的所見について、抗体陰性症例と比較検討した。 In vitroでの検討の結果、スクリーニング系で抗EPO受容体抗体が陽性となった患者血清の一部はAS-E2のEPO依存性の増殖を濃度依存性に抑制することが判明した。この結果から、一部の抗EPO受容体抗体はEPO-EPO受容体の相互作用を抑制する機能を有することが示唆された。 一方、抗EPO受容体抗体の有無により、本抗体が最も高頻度に認められた全身性エリテマトーデス患者を2群に分けて検討した結果、抗体陽性群は陰性群と比較して、末梢血網赤血球数および骨髄赤芽球系前駆細胞数が低値であることが判明した。この結果から、同定した抗EPO受容体抗体は生体内において生物学的活性を有することが示唆された。 以上の結果から、本研究で新規に同定しえた抗EPO受容体抗体の一部は慢性疾患に伴う貧血の病態に関与する可能性が示された。 さらに、臨床検査として抗EPO受容体抗体を測定することにより、貧血患者におけるEPO低反応性のスクリーニングが可能になることが推測され、本知見は意義深いものと考えられた。
|