2009 Fiscal Year Annual Research Report
移植に適したヒトES・iPS細胞由来内皮作成と腎不全進行に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
21790805
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 康一郎 Keio University, 医学部, 助教 (10383762)
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Keywords | ヒトES・iPS細胞 / 血管内皮細胞 / 抗加齢因子 |
Research Abstract |
ヒトES・iPS細胞を用いた分化誘導研究は近年盛んに行われている中で、我々は以前よりヒトES,iPS細胞から血管内皮細胞(EC)への分化誘導研究を行い、ヒトES由来EC(ESEC)は成人ECに比べ移植生着率が高いことを見出している(PLoS One. 2008 Feb 27; 3(2): e1666, Arterioscler Thromb Vasc Biol.2007 Oct; 27(10):2127-34.)。この点に注目し検討を行ったところEsEcやヒトiPs由来Ec(iPSEc)は、成人Ecに比べて、細胞増殖、内皮欠損後の回復能、酸化ストレス耐性能が高かった。これら各種内皮細胞の遺伝子発現を網羅的に解析した結果、最近抗老化因子として血管内皮細胞機能との関連が指摘されているNAD依存性ヒストン脱アセチル化酵素Sirt1発現がESEC,iPSECではヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)に比べて高いことが分かった。ESEC、iPSESにおいてSirt1特異的抑制薬およびsiRNAを用いてSirt1発現を抑制すると、細胞増殖・遊走能、酸化ストレス耐性能が低下した。さらに、in vitroにおけるtube形成能はESEC,iPSECでは成人ECに比べて高かったが、Sirt1を抑制することでその効果も減弱した。一方で、ヒト未分化ES細胞からESECへの分化過程におけるSirt1発現は有意な変化を認めず、また、Sirt1を抑制しても分化効率への影響は認めなかった。このことより、Sirt1は我々の分化誘導法においてESECやiPSECの分化過程に関与しないが、その細胞機能維持には重要な役割を担っていることが示唆され、今後Sirt1をターゲットとした移植療法に最良なESEC,iPSECの作製が期待される。
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