2010 Fiscal Year Annual Research Report
傍腫瘍性神経症候群に伴う抗神経細胞抗体の高感度検出法の検討
Project/Area Number |
21790835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古和 久朋 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60396728)
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Keywords | 傍腫瘍性神経症候群 / 抗神経細胞抗体 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
傍腫瘍性神経症候群(PNS)の診断と病態解明の必須である抗神経細胞抗体の高感度検出法を確立するために,商用のドットプロットキットの他,凍結マウス脳を用いた免疫組織化学(IHC),マウス脳ホモジネートを用いたウェスタンブロット法(WB)およびマウス海馬初代培養細胞に対する免疫細胞化学(ICC)の4法を比較検討した.本研究の2年間でPNSを疑われた対象患者数は30例,疾患対象群は9例であった.本研究の結果,23例でなんらかの陽性所見を認め,そのうち18例では複数の方法で陽性が確認された.ドットプロット法陽性例(=既知抗体陽性例)は13例出会ったが,3例では相当うるバンドがWBで検出されず偽陽性の可能性がある.IHCは本研究で19例と最も高く陽性を示した.WBは14例で陽性を示した.IHC,WBとも陽性例でかつドットプロット法陰性の症例は4例あり新規抗体の存在が示唆された,最も感度が高いことが期待されたICCは14例で何らかの染色パターンを示したが,多くがカルチャーに混在したグリア細胞への反応であり特異的とは言い難かった.Hu抗体陽性例の血清では,3例中2例で,細胞固定前に血清を培養液に加えた後固定し,GFP結合抗ヒトIgG抗体で可視化すると細胞体内で陽性所見がみられ,患者血清中の特異抗体は細胞内へなんらかの機序で取り込まれる可能性が示唆された.以上から,PNSスクリーニング法については,IHC,ついでWBがすぐれており,ICCについてはスクリーニングには適さず,むしろ抗体によるPNS発症機序の解明に寄与すると考えた.今後,本研究で示唆された新規PNS関連抗神経抗体の抗原同定を進めてゆく予定である.
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