2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン鎖の特異的構造変化と自己重合による神経変性の解明および治療戦略
Project/Area Number |
21790837
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 俊昭 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70377191)
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Keywords | 神経変性 / ポリグルタミン病 / 重合体 / シリンダー構造 / FRET |
Research Abstract |
【研究背景と目的】ポリグルタミン病に共通する病因である伸長ポリグルタミン鎖は、立体構造変化後に重合体形成をきたすことが提唱されている。しかし、構造と細胞傷害性の関連については未解明な点が多い。本研究(H21年度)ではポリグルタミン鎖の立体構造を検討し、重合形成が細胞傷害性獲得に起点となるかどうかを検討した。 【結果と考察】両端にドナー(mCFP)、アクセプター(mYFP)の蛍光蛋白を付加した伸長ポリグルタミン鎖(部分Atrophin-1蛋白:Q36,Q60,Q90:mCFP-trDQn-mYFP)を用い、一分子Fluorescence Resonance Energy Transfer(FIET)法を応用して立体構造を検討した。繰り越し申請の研究は、主に伸長数の異なるコンストラクトの作製とその解析に費やした。いずれのコンストラクトでもFRET陰性対照であるmCFP+mYFPに比して有意に高いFRET値を認め(mCFP+mYFP 0.81±0.058,mCFP-Q36-mYFP 1.00±0.082,mCFP-Q60-mYFP 0.96±0.073,mCFP-Q90-mYFP 0.95±0.070,各30細胞測定の平均±標準誤差;p<0.001,Turkey HSD検定)、グルタミン伸長によるFRET値の低下をみとめなかった。このことから、伸長ポリグルタミン鎖は、シリンダー構造であることが示唆された。また作製したコンストラクト(mCFP-trDQn-mYFP)は、構造変化のみで多量体形成をしないため、単量体としての細胞傷害性を分化誘導したSH-SY5Y細胞にて検討した(mCFP-trDQ56-mYFPを安定発現するSH-SY5Y細胞)。単量体のmCFP-trDQ56-mYFP発現細胞では、無処理のSH-SY5Y細胞と比し、有意なハザード比の上昇は認めず、重合体を形成するtrDQ56-mYFP発現細胞に比し有意に低いハザード比を示した(log-rank検定)。 【研究の意義・重要性】本年度の研究成果から、ポリグルタミン鎖は、シリンダー状の立体構造変化を呈するが、重合体形成が細胞傷害性獲得の起点として重要であることを示した。
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Research Products
(2 results)