2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門を介したAβ蛋白の脳からの除去促進機構の解明
Project/Area Number |
21790841
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐野 泰照 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20379978)
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Keywords | アルツハイマー病 / Aβ蛋白 / 血液脳関門 / ABCG2 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease : AD)に特徴的な老人斑アミロイドはAβ蛋白からなり,Aβの蓄積がADの発症や進展に関与しているとするアミロイド仮説は現在ADの病因として広く受け入れられている.アルツハイマー病の新規治療法を開発するために,脳からのアミロイドβ蛋白(Aβ蛋白)の除去機構を我々が新たに構築したヒトin vitro BBBモデルを用いて解明することが本研究の目的である.H22年度は,Aβの脳からの排出に関わっていると報告されているLRP-1とP糖蛋白以外にAβのBBBを介した排出に関わっている分子がないかどうかを明らかにすること目的とした.具体的にはBBBに発現しているeffluxトランスポーターであるMRP-1とABCG2について各々の阻害剤を用いて,MRP-1およびABCG2がAβ40蛋白のBBBを介した輸送に関わっているかどうかを検討した.MRP-1の阻害剤はAβ40の脳微小血管内皮細胞を介した透過率に影響を及ぼさなかったが,ABCG2の阻害剤はAβ40の脳微小血管内皮細胞における脳側から血液側への透過率を有意に低下させた.すなわちABCG2がAβ40蛋白の脳から血液側へのBBBを介した排出に関与している可能性が示唆された.この知見は,ADの病態解明への一助になるとともに,Aβの脳内濃度を減少させるという新たなADの治療あるいはADの予防法開発に進展しうるという点で非常に意義深いものである。
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