2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病モデルマウスの分子病態解明と新規標的分子に対する治療薬の開発
Project/Area Number |
21790845
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栄 信孝 九州大学, 病院神経内科, 助教 (80423523)
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Keywords | 脳神経疾患 / ポリグルタミン病 / 脊髄小脳変性症 / 細胞内輸送機能異常 / ユビキチン・プロテアソーム / ゴルジ体 |
Research Abstract |
私たちは、新規に作成したMachado-Joseph病(MJD)のポリグルタミン鎖155を過剰発現する脊髄小膳変性症モデルマウス(MJD 155Q Tg)を中心に解析を行っている。このマウスは約6-7ヶ月齢頃から進行性に運動機能障害を呈し、約10ヶ月齢頃に死亡することをすでに確認した。同胞のノントランスジェニック(NTg)マウスを対照として、MJD 155Q Tgマウスにおける変化について、病期別に発症早期から晩期において、5、6、7、10ヶ月齢オスマウスの脳および脊髄において、病理学的および生化学的検討を行った。昨年度は細胞内輸送機能に重要なRab familyについては調べた限りでは明らかな変化は認めなかったものの、運動障害が著明な時期である約9ヶ月齢のTgマウスにおいてゴルジ体の断片化が見られることを報告した。今年度はさらに、MJD 155Q Tgマウス脊髄前角細胞において、少なくとも6-7ヶ月齢の発症早期でもゴルジ体の断片化がおこっていることを確認した。また、ゴルジ体の形態形成および維持に関わるいくつかの分子について生化学的、病理学的解析を行ったところ、発症早期の6-7ヶ月齢において、Tgマウスにおいて生化学的にタンパク発現量が亢進し、病理学的にも局在が変化している分子を見いだした。今回、ゴルジ体の形態異常が発症早期において認められたことは、ゴルジ体が細胞内で輸送機能障害に重要であることからも、ゴルジ体の機能異常が神経変性の病態機序に重要であることが示唆された。さらに発症早期に変化するゴルジ体関連タンパクが同定されたことにより、このような分子と関連するタンパクは新規治療標的になる可能性があると考えられ、現在論文投稿準備中である。 (731字)
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Research Products
(4 results)