2009 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク高次構造を標的としたプリオン病の病態機構の解明
Project/Area Number |
21790846
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 和憲 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50534343)
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Keywords | プリオン病 / リコンビナントプリオンタンパク / 立体構造 / 感染性 |
Research Abstract |
プリオン病は、各動物種に定常的に発現する正常型プリオンタンパク(Prp^c)から構造変換した異常型プリオンタンパク(PrP^<sc>)が中枢神経系に蓄積し発症するとされている。しかしながら、PrP^cからPrP^<sc>への変換プロセスや、PrP^<sc>の立体構造、さらにその構造と感染性がどのように関連するかなど、いまだ解明されていない。本研究の目的は、PrP^cと同じ構造を持つ大腸菌から精製したリコンビナントPrP(rPrP)を用いて、試験管内で間欠的に撹拌することによって異常型に高い効率で変換する方法(Quaking-Induced Conversion;QUIC法)により異常型rPrPを作製し、その異常型rPrPの立体構造、感染性を検討することである。まず初めに、QUIC法による変換過程に影響を与える因子として温度、塩濃度、pH、変性剤の影響を検討し、異常型rPrP作製における最適条件(温度:40℃、塩濃度:300mM NaCl、pH:7.5、変性剤なし)を決定した。この条件において、マウスrPrPにごく少量のプリオン株の異なる感染脳を混和することによって、数種類の異常型rPrPの作製に成功した。これらの異常型rPrPは、PrP^<sc>と同様にタンパク分解酵素に対して抵抗性を持っており、また、プリオン株特異的に、感染脳から精製したPrp^<sc>と二次構造が類似していることを明らかにした。これらの結果から、プリオン株特異的な構造がrPrPへ伝播する可能性が示唆された。現在、これらの異常型rPrPをマウスに脳内接種し、どのような構造の異常型rPrPがプリオン病を発症するか検討中である。
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