2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク高次構造を標的としたプリオン病の病態機構の解明
Project/Area Number |
21790846
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 和憲 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50534343)
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Keywords | プリオン / リコンビナントプリオンタンパク / アミロイド / 構造 / 感染 |
Research Abstract |
本研究は、プリオン病を引き起こすメカニズムとして現在最も有力とされている、正常型プリオンタンパク(PrP^C)から異常型プリオンタンパク(PrP^<Sc>)への変換プロセスや、異常型プリオンタンパクの立体構造、さらにその構造と感染性がどのように関連するかなど、多くのいまだ解明されていない基礎的問題の解決に迫り、プリオン病の病態解明・治療へと研究を展開するための研究基盤を確立することが目的である。 そこで、PrP^Cと同じ構造を持つ大腸菌から精製したリコンビナントPrP(recPrP)を用いて、試験管内で間欠的に撹拌することによって異常型に高い効率で変換する方法(Quaking-Induced Conversion ; QUIC)によりrecPrPアミロイドを作製し、そのrecPrPアミロイドの立体構造、感染性を解析した。 マウスrecPrPにシードとしてごく少量のプリオン株の異なる感染脳乳剤を混和することによって、数種類のrecPrPアミロイド生成に成功した。これらのrecPrPアミロイドは、PrP^<Sc>と同様にタンパク分解酵素に対して抵抗性を持っており、また、プリオン株特異的に、感染脳から精製したPrP^<Sc>と同様の二次構造、構造安定性を示した。これらのrecPrPアミロイドを野生型マウスに脳内接種し、プリオン病の生存期間を検討した結果、recPrPアミロイドは対照群と比べて有意に生存期間を短縮し、感染価を高めた。一方、シードを添加せずrecPrPのみで生成したrecPrPアミロイドには感染性が無いことが判明し、透過型電子顕微鏡を用いた測定によって、感染性を有するrecPrPアミロイド(シード有り)と感染性の無いrecPrPアミロイド(シード無し)の繊維構造形態に違いが見られた。 以上の結果から、試験管内反応においても、プリオン株特異的な構造はrecPrPへ伝播され、そのrecPrPアミロイドは新たに感染性を獲得することが明らかとなった。さらに、感染性の有無には、PrPアミロイド繊維構造の違いが影響することも示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Ultrasensitive human prion detection in cerebrospinal fluid by real-time quaking-induced conversion2011
Author(s)
Ryuichiro Atarashi, Katsuya Satoh, Kazunori Sano, Takayuki Fuse, Naohiro Yamaguchi, Daisuke Ishibashi, Takehiro Matsubara, Takehiro Nakagaki, Hitoki Yamanaka, Susumu Shirabe, Masahito Yamada, Hidehiro Mizusawa, Tetsuyuki Kitamoto, Genevieve Klug, Amelia McGlade, Steven J Collins, Noriyuki Nishida
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Journal Title
Nature medicine
Volume: 17巻
Pages: 175-178
Peer Reviewed
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