2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるTDP-43蓄積機序の解明と治療応用の検討
Project/Area Number |
21790850
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西本 祥仁 Keio University, 医学部, 助教 (30398622)
|
Keywords | TDP-43 / ALS / caspase-3 / aggresome / stress granule / RNA |
Research Abstract |
本年度の研究目標として申請時に明示したTDP-43蓄積とGluR2 subunitのRNA編集率の関連性の検討,およびTDP-43封入体の生化学的解析と神経変性分子機構の解明について,実験を継続・遂行した.まずTDP-43の生化学的特性を検討するため,培養細胞においてTDP-43タンパクを発現する実験系を構築し,同タンパクの断片化,アイソフォーム生成,細胞質内封入体形成の現象について検討した.そして,アポトーシス条件下においてcaspase-3依存性に35-kDaと25-kDaの2種類の断片が切断・産生されることを確認した.一方,非アポトーシス条件下においてもcaspase-3に依存しない35-kDa,25-kDaの2種類の新規アイソフォームが産生されることを見出した.さらにアミノ酸欠損変異コンストラクトを用いた手法によりこの新規アイソフォーム産生に不可欠なドメインを同定し,これらがインフレームの下流開始コドンからの翻訳機序により産生されることが推測された.また,35-kDaタンパク発現系の細胞内局在の検討において,stress granuleというRNA調節機構に非常に重要な役割を果たす細胞質内封入体を形成することを見出した.さらにプロテアソーム阻害剤投与下では,異常な折りたたみタンパクの凝集体であるaggresomeという細胞質内封入体を形成することも確認した.GluR2 subunitのRNA編集率については,各種TDP-43遺伝子の導入,あるいはTDP-43のノックダウンの系を用いて現在検討中である. 本年度の研究成果は,TDP-43タンパクの35-kDアイソフォームを主に介したRNAの安定化/翻訳調節に関しての新たな知見であり,今後のALSを含む「TDP-43 proteinopathy」の生化学的,病理学的検討に寄与し得るものであったと考えられる.
|