2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるTDP-43蓄積機序の解明と治療応用の検討
Project/Area Number |
21790850
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西本 祥仁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30398622)
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Keywords | TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / caspase-3 / stress granule / alternative splicing / RNA |
Research Abstract |
昨年度は申請時に目標としたTDP-43細胞内蓄積とGluR2 subunitのRNA編集率の関連性,TDP-43の形成する封入体についての生化学的解析と神経変性分子機構の解明について研究を遂行し,そこで得られた知見をJ Biol Chem (285(1):608-619,2010)に報告した.この中でTDP-43タンパクの35-kDaアイソフォームがRNAの安定化/翻訳調節を通して,筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む「TDP-43 proteinopathy」の重要な病態機序を担う可能性があることを示唆した.本年度は本成果の国内雑誌への投稿や国内/国際学会での発表を介して知見を広めると共に,次のステップとして35k-Daアイソフォームを生じうるTDP-43 pre-mature RNAのalternative splicingの調節機序の検討を進めるために,すでにin vitroにおけるTDP-43のalternative splicing assayを可能とする系を確立した.またTDP-43のsplicing site周辺にSNPsが集積する部位が存在することを示唆するデータをすでに得ており,今後splicing regulatorとして病態機序に深く関与する因子を同定する予定である.またTDP-43の新たなRNA調節機能を検索するため,関連するいくつかのnon-coding RNAについて,疾患脊髄で特異的な異常を示すか否かを検討するための準備も進められた.本研究はすでに慶應義塾大学医学部,健康長寿医療センター,美原記念病院,理化学研究所の倫理委員会で承認され,実際のヒト疾患脊髄検体を用いての研究が予定されている.今後ALSにおけるRNA調節異常の分子機序を解明し,これまでとは違った新たなALSの創薬開発のための標的分子を同定し,本研究成果の治療への応用を目指している.
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Research Products
(5 results)