2009 Fiscal Year Annual Research Report
リピートRNA結合タンパク質MBNLのポリグルタミン病における役割
Project/Area Number |
21790854
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (80415140)
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Keywords | ポリグルタミン / RNA結合タンパク質 / 選択的スプライシング / 神経変性疾患 / 筋強直性ジストロフィー |
Research Abstract |
遺伝子コード領域内に存在するCAGリピート配列の伸長によって引き起こされる神経変性疾患が複数存在する。これらの疾患では、コードされたタンパク質のポリグルタミンの異常伸長がもたらされ、その変異タンパク質が発症に関わると考えられており、ポリグルタミン病と総称される。ポリグルタミン病の治療戦略の一つは、伸長ポリグルタミンを持つ変異タンパク質の発現を抑制させることである。これまでに、いくつかの研究グループによってRNA干渉を用いた変異タンパク質の発現抑制が試されており、一定の効果が認められている。しかし、一般に、CAGリピートは正常アリルにも存在するため、変異アリルと正常アリルに由来する転写産物を区別してノックダウンをするのは困難である。しかし、伸長したCAGリピートは正常長のものと比べて2本鎖構造(ヘアピン構造)を安定にとることが予測されており、2次構造上では両者の区別が可能であると考えられる。 MBNL1(muscleblind-like1)はRNA結合タンパク質であり、CTG伸長疾患である筋強直性ジストロフィーに関わるスプライシング制御因子として発見された。私はこれまでに、MBNL1がCUGリピートRNAと結合することを見出したが、同時にCAGリピートとの結合も検出している。さらに、MBNL1とCUGリピートとの結合は長さ依存的に強くなり、構造依存的であることが示唆されている。これらの結果から、ポリグルタミン病原因遺伝子の伸長CAGリピートの結合タンパク質および制御タンパク質としてMBNL1は有力な候補である。 これまでに、培養細胞系において、CAGリピートを持つ疾患遺伝子およびレポーター遺伝子とMBNL1の共発現を検討した。その結果、憾NL1がCAGリピート長依存的に発現制御を行うことが明らかとなった。現在、その機構の検討を行っている。
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