2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞における脂質代謝酵素lipinの発現調節機構解明と代謝異常治療への応用
Project/Area Number |
21790857
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 伸彦 Asahikawa Medical College, 医学部, 客員講師 (20372279)
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Keywords | 脂肪細胞 / メタボリックシンドローム / Lipin |
Research Abstract |
Lipin-1は中性脂肪合成酵素の一つとして働くほか、脂肪細胞の分化誘導、転写共役因子として働くなど、酵素を超えた多機能分子です。Lipin-1は脂肪細胞に多く発現しますが、各種代謝異常病態モデルや遺伝子改変動物の解析から、その発現量は全身のインスリン感受性と正に相関することがわかっています。つまり脂肪細胞のlipinを量的・質的に高める事が、代謝異常治療につながると期待されます。本研究目的は、脂肪細胞におけるlipinの調節機構や役割の解明をとおして、全身の代謝異常改善手法を探ることにあります。本年度は、脂肪細胞におけるlipin-1の発現調節、特に肥満の病態においてlipin-1の遺伝子発現が低下する機序を検討しました。具体的には、肥満の病態形成に深く関与するTNF-αに着目し、脂肪細胞のモデルである3T3-L1脂肪細胞にTNF-αを添加し、lipin-1の遺伝子発現を検討しました。その結果、TNF-αは濃度および時間依存的にlipin-1の遺伝子発現を低下させることが判明しました。さらにその機序を解析する目的で、脂肪細胞内のTNF-αシグナルを検討したところ、Jak2の関与が見いだされ、論文として報告しました。今後は脂肪細胞のJak2の下流にある調節因子を同定し、低下したlipin-1を増加させるtargetを探索する予定です。また、なぜ脂肪細胞のlipin-1遺伝子発現変化が全身の糖代謝に影響を及ぼすのか、さらに他臓器でのlipinが全身の代謝にどのように関わるのか検討を行う予定です。
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Research Products
(2 results)