2010 Fiscal Year Annual Research Report
海馬におけるカンナビノイド受容体を介した脂肪酸伸長酵素Elovl6の役割の解明
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21790860
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 清朗 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (80419150)
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Keywords | 脂質 / カンナビノイド / エネルギー代謝 / 海馬 |
Research Abstract |
本研究は、エネルギー代謝に重要な役割を持つ脂肪酸組成の変化が中枢神経系においても重要な生理的役割を持つという仮説を証明し、これに基づいた新しいメタボリックシンドローム治療法開発の基盤を構築することである。Elovl6は炭素数12-16の飽和および一価不飽和脂肪酸の鎖長伸長反応を司り、炭素数18以上の長鎖脂肪酸の合成に重要な役割を果たしている。このElovl6による海馬機能への役割が明らかになることで、脂肪酸種と脳の新たな関係を示すことが出来る。本年度の研究によってElovl6 KOマウスは脂肪酸組成の変化がエネルギー代謝遺伝子発現に重要な役割を持つことを示した。加えてElovl6 KOマウスにおいて、モリス水迷路やステップスルー空間学習試験において障害が見られることから脳、特に海馬における機能、シグナル伝達系になんらかの変化があると示唆される結果が得られた。海馬のシグナル伝達系の中心にあるのがCa^<2+>シグナル系であり、このCa^<2+>シグナル系を制御するとして注目される分子が内因性カンナビノイド(CB)受容体リガンド、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)である。海馬ではCB1受容体が記憶、学習といった脳の高次機能調節に関与している。Elovl6 KOマウスではパルミトレイン酸からオレイン酸への経路が遮断されるため、この下流にある2-AGの合成も阻害されてしまう。実際、海馬での2-AG濃度は減少しており、in vivoおよびin vitroにおいて神経とグリアの分化、増殖に影響がみられた。
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Research Products
(1 results)