2010 Fiscal Year Annual Research Report
GDP型Rab27aによる細胞骨格制御とインスリン顆粒膜のリサイクリング
Project/Area Number |
21790876
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木村 俊秀 大分大学, 医学部, 准教授 (60404373)
|
Keywords | 低分子量Gタンパク質 / インスリン / 膵B細胞 / エンドサトーシス / Rab27a / 糖尿病 / アクチン / coronin |
Research Abstract |
申請者は、これまで不活性型と考えられてきたGDP型Rab27aに結合する分子としてcoronin3を同定し、その結合が膵B細胞でエンドサイトーシスを制御することを示した。さらに前年度には、GDP型に変換されたRab27aは細胞膜直下でcoronin3と結合し、アクチン細胞骨格の再編成を行うことでインスリン顆粒膜のエンドサイトーシスを制御することを明らかにした。本年度は、coronin3との結合を介したGDP型Rab27aが、複数のステップより成るエンドサイトーシスの、どのステージに働くのかを明らかにすることを目的とした。 Coronin3をノックダウンした細胞ではインスリンが放出された後に顆粒膜が細胞内に取り込まれず、細胞膜近傍に集積する。そこで、集積した顆粒膜の超微形態を電子顕微鏡で解析した。顆粒膜は、インスリン顆粒に特徴的なハロ・コア構造を持たず、細胞膜直下からわずかに離れた位置に集積が見られた。次に、顆粒膜に局在する膜貫通型タンパク質の細胞内局在を調べた結果、顆粒膜は細胞膜とは融合していないことが明らかになった。 以上の結果より、coronin3はエンドサイトーシス経路の内、顆粒を細胞膜からくびり切った後のステップ、つまりエンドサイトーシス後半を制御していることを明らかにした。本研究成果は、Biochemical Biophysical Research Communications誌に掲載された。本成果は、インスリン顆粒の動態調節を理解する上で極めて重要であると共に、低分子量Gタンパク質によるシグナリングという意味からも基礎生物学上重要な知見である。従って、本年度の研究計画はほぼ達成することができたと考えている。
|