2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790878
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森岡 与明 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 後期臨床研究医 (30382154)
|
Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
(1) 膵β細胞におけるGLP-1作用に及ぼすレプチンシグナルの影響 膵臓特異的レプチン受容体欠損マウス(ObR-KO)より単離した膵ラ氏島は,対照ラ氏島に比べGLP-1刺激による細胞内Caイオン流入およびインスリン分泌反応の増強を示した(連携研究者Robert Kennedyによる).ObR-KOマウス由来のラ氏島のインスリン含量やGLP-1受容体遺伝子発現量は対照で同程度であり,レプチンシグナルを欠失するβ細胞内におけるGLP-1受容体以降のシグナルの機能的増強が示唆された.siRNA導入法によりレプチン受容体発現をノックダウンしたMIN6 β細胞株(MIN6-siObr)においては対照に比べ,GLP-1アナログ(exendin-4)刺激後のCREB蛋白のリン酸化でみたGLP-1シグナリングの増強が観察された.更に詳細なGLP-1シグナルの解析として,細胞内cAMP含量やホスホジエステラーゼ活性の測定を平成22年度に行う. (2) 血糖降下薬スルホニル尿素(SU)剤の膵β細胞作用に対するレプチンシグナルの影響 膵ObR-KOマウス由来の膵ラ氏島では,SU剤(gliubenclamide)による細胞内Caイオン流入は対照ラ氏島と差異を認めないものの,インスリン分泌は増強を認めた(Robert Kennedyによる).MIN6 β細胞株を用いて,Static incubation法によりglibenclamide刺激後のインスリン分泌反応を解析した結果,MIN6-siObr細胞においてインスリン分泌反応の増強が認められた.MIN6-siObr細胞におけるSU受容体の各サブユニット(Kir6.2,SUR1)の遺伝子および蛋白発現量は,対照細胞と同程度であった.以上より,SU剤のインスリン分泌促進作用に対し,レプチンはCaイオン流入以降の機構を調節することにより抑制的に働いている可能性が示唆された.
|