2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790878
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森岡 与明 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 病院講師 (30382154)
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Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.膵β細胞におけるGLP-1のインスリン分泌促進効果とレプチンシグナルとの関連 siRNA導入法によりレプチン受容体(ObR)発現を減弱させたMIN6-β細胞(MIN6-siObR)において,GLP-1アナログ(exenatide)によるCREB蛋白リン酸化の増強を認めた.さらに同細胞内において,cAMP分解酵素として働くホスホジエステラーゼの酵素活性が対照細胞に比べ有意に減弱していることが認められ,レプチンシグナルの減弱した膵β細胞においてGLP-1-cAMP経路の増強が,GLP-1誘導性インスリン分泌増強効果に寄与する可能性が示唆された. 2.膵β細胞における脂肪酸投与の効果とレプチンシグナルとの関連 膵臓特異的レプチン受容体欠損マウス(ObR-KO)由来の単離膵ラ氏島におけるグルコース応答性の細胞内Caイオン濃度([Ca^<2+>]_i)とインスリン分泌反応(GSIS)は,10分間のパルミチン酸の存在下(急性効果)でともに対照と比べ有意に増強した.一方,48時間のパルミチン酸投与(慢性効果)により野生型膵ラ氏島のGSISは21%減弱したが,ObR-KOマウス由来膵ラ氏島においてはさらに強い減弱効果(48%)が認められた.またパルミチン酸の慢性刺激後のグルコース応答性の([Ca^<2+>]_i)については,対照とObR-KOとで同程度の減弱を認めた.さらにMIN6細胞において,48時間のパルミチン酸投与にて誘導される小胞体ストレス(p-PERK, CHOP)は,レプチンの同時投与により有意に抑制された.以上の結果より,ObRを欠損する膵β細胞において,遊離脂肪酸の急性上昇は栄養シグナルとして働きβ細胞機能をより増強する一方で,慢性的な遊離脂肪酸の投与は脂肪毒性シグナルとして働きβ細胞機能をより減弱させることが示された.さらにレプチンは小胞体ストレスの抑制を通して膵β細胞における脂肪毒性を改善させる可能性が示唆された.
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