2010 Fiscal Year Annual Research Report
末梢体内時計の生理的・臨床的意義の解明と制御法の開発
Project/Area Number |
21790880
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
安藤 仁 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50382875)
|
Keywords | メタボリックシンドローム / 体内時計 / 時計遺伝子 / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
細胞内体内時計の障害は2型糖尿病を初めとする生活習慣病の発症をもたらす。糖・脂質代謝を担う中心的臓器である肝の体内時計は、摂食や薬物の影響をうけやすく、中枢のマスタークロック以上に代謝を制御している可能性がある。本研究は、肝特異的に体内時計を障害した遺伝子改変マウスを作製、解析することにより、肝の体内時計の生理的・臨床的意義を解明するとともに、体内時計機能の減弱した2型糖尿病モデルマウスを用いて末梢体内時計機能を改善する治療法を開発することを目的とした。 1.肝特異的Bmal1コンディショナルノックアウトマウスを作出するためにBmal1-loxPマウスの作製を行ったが、当該マウスは予定通りBmal1を発現するにもかかわらず、既報の全身性Bmal1ノックアウトマウスのものと類似した表現型を呈し、Bmal1の機能が障害されていた。この時点で、国内の他のグループによりBmal1-loxPマウスの作製が報告されたため、独自にマウスを作製しなおすことを断念し、マウスを譲り受けて解析を開始した。 2.肥満2型糖尿病モデルであるob/obマウスを解析し、(1)視交叉上核のマスタークロックには異常を認めないが、末梢組織(肝、腹腔内脂肪組織)の体内時計には顕著な障害を認めること、(2)この末梢時計障害は低カロリー食を4週間負荷し代謝異常を軽減させても改善しないこと、(3)レプチンを1週間腹腔内投与した場合には、低カロリー食と同等の代謝異常の改善にもかかわらず、末梢時計障害が軽減すること、(4)末梢時計障害は代謝異常が出現する前の3週齢から認められること、を明らかにした。すなわち、ob/obマウスの末梢時計障害はレプチン欠損自体に起因しており、レプチンシグナルが末梢体内時計の制御に重要であることが判明した。 本研究の成果は、生活リズムが乱れがちな現代人の体内時計を整えることで生活習慣病を予防・治療するというまったく新しい生活習慣病対策法の開発につながることが期待できる。
|
Research Products
(2 results)