2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝内免疫細胞を標的とした糖尿病、メタボリックシンドローム治療法の開発
Project/Area Number |
21790882
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
入江 潤一郎 Keio University, 医学部, 助教 (70306687)
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Keywords | 脂肪肝 / 糖尿病 |
Research Abstract |
我々はリンパ球を特異的に刺激する抗体の投与でマウスに脂肪肝・メタボリックシンドロームを引き起こす事を見出しているが、その詳細な機序は未だ不明である。そこでまず病態の経時的変化を明らかとするため、雄C57BL/6マウスに抗リンパ球抗体を投与し6、12、24、48、72時間後に肝臓を摘出し肝臓内脂質を抽出し解析を行った。その結果6時間後より肝内脂肪蓄積が生じ始め、72時間後まで持続することが判明した。次に脾臓、末梢リンパ節細胞も抽出しフローサイトメーターでT細胞の活性化状態を検討したところ、6時間後より活性化が認められていた。また血清中の催炎症性サイトカイン(TNFa,IL-6)も上昇を認めた。 次に抗体の投与によって脂肪肝が生じた状況の下で耐糖能の悪化を評価した。C57BL/6マウスに抗リンパ球抗体を投与後に、腹腔内に体重1gあたり2mgのグルコースを投与し15分おきに血糖値を測定した。その結果抗体投与群では耐糖能の悪化を認めた。また血清インスリン値を測定したところインスリン抵抗性を呈していた。 さらに本病態の中心となる細胞群を明らかとすべく、肝臓に多く認められるNKT細胞特異的物質を投与して本病態への影響を検討した。その結果、NKT細胞の活性化によって病勢が悪化することが判明した。従って本病態においてNKT細胞が重要な役割を担っていることが推測された。今後、NKT細胞がどのような分子機構で耐糖能の悪化に寄与しているかを明らかとしていく予定である。
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