2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝内免疫細胞を標的とした糖尿病、メタボリックシンドローム治療法の開発
Project/Area Number |
21790882
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
入江 潤一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70306687)
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Keywords | 脂肪肝 / 糖尿病 / 免疫 |
Research Abstract |
我々はリンパ球を特異的に刺激する抗体の投与でマウスに脂肪肝・メタボリックシンドロームを引き起こす事を見出しているが、その詳細な機序は未だ不明である。 平成22年度の検討で、雄C57BL/6マウスに抗リンパ球抗体を投与すると抗体投与48時間から徐々に肝脂肪蓄積が生じることが判明した。またその時に肝臓の脂肪含量、遺伝子発現の変化を検討したところ、中性脂肪の蓄積を認めており、同時に脂肪合成系酵素の遺伝子発現の増加を認めていた。この時に糖負荷検査で評価した耐糖能は、脂肪肝を誘導されたマウスで悪化していた。すなわちリンパ球抗体の投与でメタボリックシンドローム、糖尿病が誘導されたと考えられた。 次に本現象に重要な細胞分画を除去抗体を用いて検討した。CD4抗体、CD8抗体、NK1.1抗体などを用いて検討したところ、NKマーカー陽性の細胞群が本現象の発症に必須であるとの結果を得た。また脂肪蓄積を生じた肝臓の遺伝子発現を検討したところTNFa,IL-6等の催炎症サイトカインが増加していた。 また本現象はリンパ球を有さないマウスにおいては生じることがなく、そのマウスのリンパ球を再構築すると本現象が再現することも見出した。したがって本現象に必須の免疫担当細胞分画は肝臓特異的に存在するわけではなく、全身に存在する免疫担当細胞が関与していることが示唆された。 これまでの結果に基づき、病態形成に重要と考えられた炎症性サイトカイン(TNFa,IL-6)に対する中和抗体を事前に投与し、その後に抗体の投与によってマウスに肝脂肪蓄積を誘導し、病勢抑制の程度を今後評価する。また免疫担当細胞の局在により病態がいかに変化するかを、接着分子に対する阻害を行い検討を行う予定である。
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