2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋由来成体幹細胞からの褐色脂肪細胞創出による肥満の予防法開発
Project/Area Number |
21790884
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
上住 聡芳 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60434594)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 骨格筋 / 間葉系前駆細胞 |
Research Abstract |
脂肪細胞にはエネルギーを脂肪として蓄える白色脂肪細胞と、熱産生によりエネルギーを消費する褐色脂肪細胞が存在する。褐色脂肪細胞はそのエネルギー消費特性から抗肥満作用が期待されている。研究代表者はこれまで、骨格筋組織内に高い脂肪分化能を有した間葉系前駆細胞の同定に成功しており、その間葉系前駆細胞が褐色脂肪への分化能も有していることを明らかにしている。間葉系前駆細胞の褐色脂肪細胞への誘導効率を高める目的で、誘導法の検討を行ってきた。これまでに、褐色脂肪細胞形成に重要な転写因子を導入するためのレンチウィルスの実験系を立ち上げ、間葉系前駆細胞への高効率な遺伝子導入に成功している。今回、導入遺伝子の発現をより厳密に制御する目的で、Tet-onシステムによる誘導型レンチウィルスを作製した。作製された誘導型レンチウィルスは間葉系前駆細胞への高い感染率を示し、また、導入遺伝子のDoxによる厳密な発現制御が可能であった。さらに、PRDM16をはじめとした褐色脂肪細胞形成を正に制御する転写因子をクローニングし、レンチウィルスベクターを作製した。これらを利用し、褐色脂肪細胞への誘導効率向上を検討していく予定である。 最近、細胞系譜追跡実験により褐色脂肪組織は筋関連転写因子myf5を発現する系譜の細胞から発生することが明らかにされたが、我々が同定した間葉系前駆細胞はmyf5-CreマウスやMespl-Creマウスを用いた細胞系譜追跡実験により、myf5系譜や中胚葉由来ではないことが明らかになった。また、我々はヒト成人の骨格筋においても間葉系前駆細胞の同定に成功した。褐色脂肪組織はヒト成人においてほとんど消失してしまうため、間葉系前駆細胞がそれとは異なる発生学的起源を持ち、実際ヒト成人骨格筋に存在していたことの臨床的意義は大きい。
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