2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋由来成体幹細胞からの褐色脂肪細胞創出による肥満の予防法開発
Project/Area Number |
21790884
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
上住 聡芳 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60434594)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 骨格筋 / 間葉系前駆細胞 |
Research Abstract |
脂肪細胞にはエネルギーを脂肪として蓄える白色脂肪細胞と、熱産生によりエネルギーを消費する褐色脂肪細胞が存在する。褐色脂肪細胞はそのエネルギー消費特性から抗肥満作用が期待されている。研究代表者はこれまで、骨格筋組織内に高い脂肪分化能を有した間葉系前駆細胞の同定に成功しており、その間葉系前駆細胞が褐色脂肪への分化能も有していることを明らかにしている。最近の細胞系譜追跡実験により、褐色脂肪組織が骨格筋系譜細胞と同じ発生学的起源を持つことが示され(Seale et al., Nature, 2008)、褐色脂肪細胞と骨格筋系譜細胞の類似性が注目されている。しかし、成体における骨格筋系譜幹細胞である筋衛星細胞の脂肪分化能は、研究代表者が同定した間葉系前駆細胞に比べると著しく低く、間葉系前駆細胞が成体において褐色脂肪細胞の細胞源として有望であることを明らかにした。 研究代表者はPDGFRαが間葉系前駆細胞の特異的マーカーであることを報告したが(Uezumi et al., Nat. Cell Biol., 2010)、最近、白色脂肪組織においてもPDGFRα陽性前駆細胞が存在し、β3アドレナリン刺激によって褐色脂肪細胞分化を果たすことが示された(Lee et al., Cell Metab., 2012)。研究代表者の研究結果とあわせて考えると、PDGFRα陽性前駆細胞を標的とした研究戦略は肥満治療の発展につながると期待される。 このPDGFRα陽性前駆細胞の発生学的起源を調べるため、細胞系譜追跡実験を行ったところ、神経堤に由来することが明らかになった。褐色脂肪組織はヒト成人においてほとんど消失してしまうが、成体において褐色脂肪細胞を生み出すPDGFRα陽性前駆細胞がそれとは異なる発生学的起源を持つことを明らかにした本研究の臨床的意義は大きい。
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