2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790887
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渋沢 信行 Gunma University, 医学部, 助教 (90396622)
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Keywords | 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン / 糖尿病 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hormone ; TRH)は、視床下部の主に室傍核より分泌され、下垂体前葉の下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生細胞に作用しTSHの合成分泌を刺激する。我々のグループにおいて確立されたTRH遺伝子欠損マウス(TRHKO)の研究により、TRHKOは中枢性甲状腺機能低下症の病態を表すこと、TRHは胎生期のTSH産生細胞の発生分化には必要でなく生後のTSH産生細胞の維持に必須であることなどが明らかとなっている。興味深いことにTRHKOでは軽度の耐糖能障害が観察され、膵ランゲルハンス氏島からのインスリン分泌の低下も認められた。これまでに膵臓β細胞にTRHの存在は知られていたが、インスリン分泌に対する作用の詳細は不明であった。そこで今回、TRHKO膵臓より単離したラ氏島を利用しマイクロアレイ解析を行い、TRH欠損による遺伝子発現への影響を解析する事とした。 マイクロアレイの結果、7827遺伝子が検出された。野生型マウスと比較してTRHKOマウスから単離したラ氏島では179遺伝子が2倍以上の発現低下、155遺伝子が2倍以上の発現増加を示した。この中から、我々はfibroblast growth factor 21(FGF21)に注目した。FGF21は、生体において糖、脂質などのエネルギー代謝の重要な調節因子として働いており、膵臓β細胞機能に作用することも報告されている。TRHKOから単離したラ氏島におけるFGF21 mRNAレベルは、野生型マウスのラ氏島でのmRNA発現レベルの約40~60%に低下しており、これはTRHKOに甲状腺ホルモンを補充した場合にも変化しなかった。現在、FGF21遺伝子のプロモーター領域をサブクローニングしLuciferase発現レポータープラスミドに導入しプロモーター活性測定、プロモーターの欠失変異コンストラクトを作製し、TRHの活性責任部位の決定、関与する転写因子の同定などを株化細胞であるMIN6やβHC9、βTC6細胞等を利用して行っている。 生体において膵臓β細胞の正常な機能維持にTRHは重要であり、その作用機構の1つとしてFGF21を介してパラクリン的に作用している事が示唆された。
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Research Products
(2 results)