2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイド応答性遺伝子発現のHEXIM1を介した組織特異的制御機構の解析
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21790888
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 宣明 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30396890)
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Keywords | グルココルチコイド / 骨格筋 / ミオパチー / 筋萎縮 / ロコモティブシンドローム / ステロイド副作用 / 分岐鎖アミノ酸 / 栄養 |
Research Abstract |
副腎皮質グルココルチコイド(GC)の標的組織、とくに薬理量のグルココルチコイド製剤を投与した場合に起こりうる副作用が観察される組織として骨格筋に着目した。骨格筋はタンパク質の50~75%を保持する人体最大の組織で、筋線維タンパク質の合成(同化)と分解(異化)のバランスによる筋量の制御は、筋力の維持だけでなくエネルギー源の貯留管理においても重要である。ステロイド副作用、飢餓(栄養不良)、糖尿病、敗血症、廃用などによる筋量、筋力の低下(筋萎縮)は、全身のエネルギー代謝調節に悪影響を及ぼすのみならず、運動機能の低下(ロコモティブ症候群)から転倒リスク上昇→骨折→長期臥床、代謝障害や感染症の合併→さらなる筋萎縮、という負のスパイラルを招く。本研究では、GCレセプター(GR)を鍵因子とした転写ネットワークが、異化亢進と同化抑制に貢献する分子機構をそれぞれ解明した。また、栄養を検知して同化を促進するリン酸化シグナルカスケードの鍵因子mammalian target of rapamycin (mTOR)が、GRを要的にしてその転写ネットワーク全体を抑制することを示した。異化と同化の鍵因子同士がお互いに抑制しあうことで、これらの下流システムの駆動がダイナミックに変換され、迅速に効率よく骨格筋代謝がスイッチされることを動物モデルにより実証した。GRとmTORは多様な組織の生理機構に必須であり、これらのクロストークの様々な組織、状況下における意義の解析には広範な波及効果が期待される。
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