2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790889
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
出村 昌史 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (00507080)
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Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティクス / 組織特異的プロモーター / アルドステロン / 肥大型心筋症 |
Research Abstract |
副腎と心血管のアルドステロン合成制御の違いにつき、2つのサブテーマで、本年度の成果を記す。 1. アルドステロン合成酵素遺伝子(CYP11B2)プロモーターのDNAメチル化:プロモーター内のCREのメチル化DNA標的部位CpG(-68/-67)(CpG1),Ad5のCpG(-112/-111)(CpG2)のメチル化状態を評価した。また、CpG(-219/-218)(CpG3)も解析に加えた。アルドステロン産生腫瘍(n=9)、非アルドステロン産生腫瘍(n=5)正常副腎(n=4)、動脈(n=3)において、CpG1,2,3のメチル化比率とCYP11B2発現量と逆相関し、アルドステロン産生腫瘍では、低メチル化状態、動脈では、高メチル化状態であった。また、プロモーターアッセイでも、DNAメチル化の程度とCYP11B2プロモーター活性は逆相関した。CYP11B2プロモーター活性はメチル化依存性に抑制される。DNA-蛋白結合の検討から、メチル化により活性化因子CREBやNURR1のプロモーターへの結合が阻害され、また抑制因子のメチル化CpG結合蛋白MECP2の結合が促進されることが関与していることが判明した。また、肥大型心筋症では低メチル化状態であり、低メチル化が肥大心からのアルドステロン産生亢進に関与する可能性が示唆された。 2. CYP11B2転写を活性化する核内受容体の発現調節機構;核内受容体のうち、CYP11B2活性化因子NR4Afamily (NGFIB, NURR1, NOR1)、抑制因子NR5A1 (SF-1)の遺伝子発現が複数のプロモーターにより、発現調節されることが培養細胞H295Rを用いた検討から判明した。さらに、これらのプロモーターはヒト副腎、動脈でも発現しており、特にNGFIBのプロモーター発現調節は、副腎と動脈では異なっていた。即ち、蛋白コード領域から11kb上流のプロモーターの使用頻度が、副腎では9.9%,動脈では35.5%と有意に異なることが判明した。このプロモーターのみを抑制することにより、動脈硬化巣で活性化しているCYP11B2の発現のみを特異的に抑制しうる可能性がある。これは、新たな抗動脈硬化治療開発という意味で意義がある。
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