2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成蛋白を介する副腎皮質のアルドステロン分泌とブレイクスルー現象発生機序の解明
Project/Area Number |
21790894
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 二郎 Okayama University, 病院, 医員 (90452573)
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Keywords | アルドステロン / 骨形成蛋白 / ステロイド合成 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年、アルドステロンは脳・心血管・腎への直接的な臓器障害を有することが知られるようになり、高血圧治療でのACEI・ARBの長期治療におけるアルドステロンエスケープ「アルドステロンブレイクスルー」は臨床的に重要な課題となっている。その機序を解明するため、副腎皮質の局所因子に着目して検討を行った。H21年度の研究では副腎皮質細胞初代培養系(H295R)における細胞レベルでのアルドステロンブレイクスルーの有無に着目して検討を行った。H295R細胞をAngII及びcandesartan(CV)添加を長期間行い、アルドステロン合成の経時的変化を測定し、また細胞内シグナル、Aldo合成を刺激する局所因子;BMP-6の発現の変化の検討を行った。AngIIにより刺激されたアルドステロン合成はCVにより短期的(培養2-6日目まで)には抑制されたが、その抑制効果はCV添加7日目から減弱し始め13-15日目にはアルドステロン合成抑制効果は減弱し,副腎細胞レベルにおいて「アルドステロンブレイクスルー」現象を認めた。CVはAIIによるERK1/2の活性化を阻害したが、BMP-6存在下ではその作用は抑制された。またAngIIのみで15日間処理した細胞ではBMP-6mRNAの発現は減弱し、BMP細胞シグナルであるSmadのリン酸化は減弱を認めたが、AngII・ARB処理ではBMP-6発現及びSmadのリン酸化は維持されていた。以上の結果より、慢性的なAT1受容体抑制からのアルドステロンエスケープに副腎局所因子であるBMPシステムが関与している可能性が示唆された。
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