2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管ホルモンによる細胞代謝制御のメタボリックシンドロームと加齢における意義
Project/Area Number |
21790896
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮下 和季 Keio University, 医学部, 講師 (50378759)
|
Keywords | 血管ホルモン / ナトリウム利尿ペプチド / cGMP存性蛋白キナーゼ(cGK) / 細胞代謝 / ミトコンドリア / メタボリックシンドローム / 加齢 / 骨格筋 |
Research Abstract |
本年度はナトリウム利尿ペプチド(NP)/cGMP/cGKカスケードがエネルギー代謝に影響を与え、代謝疾患の発症に関与する可能性を検討した。NP/cGKカスケードがミトコンドリアの量的機能的制御に関与する遺伝子の発現変化を介して細胞代謝を調節し、代謝疾患の発症に関与する可能性に焦点をあて、研究をすすめた。培養骨格筋細胞へのcGMP添加により、ミトコンドリア量とATP産生が増加し、その一方でミトコンドリアROS産生は減少した。8週間の高脂肪食負荷後、BNP-Tgマウスの体重はWtと比較して有意に減少していた。cGK-Tgマウスは標準食下においても体重が減少し、耐糖能良好であった。呼気ガス分析では、cGK-Tgマウスにおいて酸素消費と脂質燃焼の亢進を認めた。電子顕微鏡を用いた観察では、cGK-Tgマウス骨格筋において、巨大なミトコンドリアを高密度で認めた。cGK-Tgマウス骨格筋のトランスクリプトーム解析を行ったところ、ミトコンドリア生合成ならびに脂肪酸β酸化に関与する遺伝子群の発現増加が認められた。これらの結果よりNP/cGMP/cGKカスケードは骨格筋ミトコンドリア生合成を増加させ脂質燃焼を亢進させることで、過栄養に拮抗する細胞代謝状態をもたらすと考えられた(Diabetes 58:2880 2009)。また、NPなどの血管ホルモンが血流量と酸素供給を調整するのみならず、末梢組織に直接作用して細胞代謝を調節し、肥満,糖尿病,メタボリックシンドロームなどのいわゆる生活習慣病の発症に関与する可能性が示唆された(Diabetes 58:710 2009)。
|
Research Products
(17 results)