2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規受容体の同定によるデスアシルグレリンの作用機序及び生理的意義の解明
Project/Area Number |
21790901
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
森 美和 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生化学部, 流動研究員 (50363148)
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Keywords | グレリン / デスアシルグレリン / 受容体 / 内分泌 |
Research Abstract |
グレリンは、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHS-R)の内因性リガンドであり、成長ホルモン分泌促進作用に加え摂食亢進作用を有するペプチドホルモンである。グレリンによるGHS-Rの活性化と生理作用の発現には、N末端から3番目のセリン残基における脂肪酸修飾が必須であるため、脂肪酸修飾のないデスアシルグレリンは不活性型と考えられてきた。しかしながら、近年、デスアシルグレリンによる心筋細胞等へのアポトーシス抑制作用、前立腺癌細胞に対する増殖抑制作用、脂肪細胞からのグリセロール放出抑制作用に加え、GHS-Rノックアウトマウスへの中枢投与実験によってデスアシルグレリン特異的な摂食亢進作用が観察されたため、GHS-Rとは異なる未知の受容体を介して生理作用を発揮していることが強く示唆されている。そこで本研究では、デスアシルグレリンの受容体を同定し、機能解析を行うことによってデスアシルグレリンとその受容体の生理的意義を確立することを目的としている。 これまで、受容体応答を含む様々な細胞内シグナル伝達を細胞形態変化として検出するCellKeyシステムを用いて、デスアシルグレリンに反応する培養細胞を検索してきたが、微弱な反応を示すも再現性の乏しい細胞株しか見出せなかった。そこで、デスアシルグレリン受容体がGPCRである可能性が強く示唆されているため、主要なセカンドメッセンジャーである細胞内カルシウムイオンやcAMPの測定を試みたところ、複数の細胞株で細胞内cAMP濃度の上昇を確認できた。今後、これらの細胞を用いることによってデスアシルグレリンが機能する際の分子メカニズムの解明が期待できる。
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