2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790906
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮城 聡 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (20400997)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / 細胞分化 / クロマチン / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
これまでに、申請者は、Bmi1の機能発現機構を明らかにするため、Flag-Bmi1を発現するヒト未分化型白血病細胞株よりBmi1複合体を部分精製し、構成因子群の同定を行った。昨年度は、これら構成因子の中から、Bmi1との結合性を検証済みであるTIF1bに着目し、造血幹細胞における機能解析を行った。すなわち、胎生期から造血組織でCre recombinaseを発現するTie2-Creマウスを用いてTIF1b遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを作製し、解析を行った。この結果、TIF1b^<F/F>;Tie2-Cre胎児では、前赤芽球以降の赤芽球の成熟が著しく阻害されており、変異胎児は胎生中期に貧血により致死であった。従って、TIF1b遺伝子が胎児期の赤血球分化に重要な機能を有すると考えられる。さらに、競合的移植実験からTIF1b^<F/F>;Tie2-Cre造血幹細胞の骨髄再構築能が著しく障害されている事を明らかにした。また、TIF1b^<F/F>;Mxl-Cre細胞を用いて再構築した個体において、TIF1bをpIpC処理により不活化した場合にはTIF1b^<F/F>;Mxl-Cre細胞が選択的にレシピエント個体より消失した。これらの結果は、細胞内在的なTIF1bの機能が造血幹細胞に必須である事を示唆している。さらに、TIF1b^<F/F>;Mxl-Cre造血幹細胞ではp21の発現が脱抑制されており、クロマチン免疫沈降法によりTIF1bが直接p21遺伝子プロモーターに結合する事を明らかにした。これらの結果はTIF1bによるp21の抑制が造血幹細胞機能に必須の役割を果たす事を示している。現在、TIF1bとCdknla(p21)の二重変異マウスを作成中であり、レスキュー実験を行う予定である。 一方で、TIF1b^<F/F>;;Tie2-Cre造血幹細胞ではヘテロクロマチンの構成に重要な役割を果たすHPlaのタンパク質量が減少し、その核内局在が変化する事を見出した。現在、TIF1bによるp21の発現抑制におけるHP1aの関与に関して検討中である。
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Research Products
(6 results)