2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群における4番染色体長腕の新規標的遺伝子の探索
Project/Area Number |
21790907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真田 昌 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20529044)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / ゲノム / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(MDS)は、血球減少と急性骨髄性白血病への移行を特徴とする難治性の造血器腫瘍であるが、分子病態についても不明な点が多い。治療成績の改善には、多様な分子病態を理解し、治療標的候補分子の同定することが必須である。高密度SNPアレイ解析により、MDSの約30%の症例に観察されるコピー数の変化を伴わないLOH(aUPD)領域内に標的候補である遺伝子変異が高頻度に存在する。そこで同領域内の標的遺伝子探索を行い、4番染色体長腕aUPD例においてTET2遺伝子変異が高頻度(5/6例)に生じ、同領域の標的遺伝子であることが明らかとなった。TET2変異はMDSおよび関連疾患の約30%の症例で認められ、MDSの病態に重要な役割を担っていると予想される。一方、SNPアレイの解析によっても、コピー数異常やUPDを有さない症例はMDSの20-30%存在し、ゲノム異常領域からのアプローチには限界がある。そこで近年、急速な技術革新が見られている次世代リシークエンサを活用したtarget-capture sequencingによるMDSにおける新規変異遺伝子の網羅的な探索を試み、20例のMDS症例の全エクソン解析により、約200個の腫瘍細胞特異的な変異が同定された。既知の標的遺伝子変異の他にも、多数の新規遺伝子変異が含まれた。複数の症例において共通して観察される遺伝子変異もあり、現在、それらの変異の多数例における頻度の解析を進めている。今後、本アプローチにより、治療標的となり得る分子が同定されることが期待される。
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Research Products
(12 results)