2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病におけるインテグリン関連アダプター分子の役割と治療への応用
Project/Area Number |
21790908
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬尾 幸子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401121)
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Keywords | シグナル伝達 / 癌 |
Research Abstract |
p210Bcr-AblトランスジェニックマウスとCas-Lノックアウトマウスを交配したマウスは白血病進行が早まるということが分かっている。その原因としてp210Bcr-Abl陽性造血幹細胞および前駆細胞におけるCas-Lの欠損は増殖およびアポトーシスに変化を与えていることが予想されたが、p210Bcr-Abl陽性造血幹細胞および前駆細胞を用いた各種実験ではCas-Lの有無で増殖等に影響はなかった。そのため、Cas-L欠損p210Bcr-Ablトランスジェニックマウスにおいて白血病進行が早まる原因は幹細胞の増殖以外によって起こっている可能性が考えられた。Cas-L欠損p210Bcr-Ablトランスジェニックマウスにおいては、脾臓、肺など様々な臓器への著明な好中球の浸潤を認めており、これら好中球の髄外への浸潤が早期死亡に関与していると考え、Cas-L欠損好中球の機能解析を行った。好中球に対する遊走刺激因子(fMLP)を用いた遊走実験では、Cas-L欠損好中球では明らかに遊走能が増加していた。また好中球の接着能の検討も行なった。好中球に対する重要な接着因子(VCAM-1)を用いて接着能を調べたところCas-L欠損好中球では著明に接着能が低下していた。これらのことからCas-L欠損好中球では骨髄から他の臓器への浸潤が起こりやすい可能性が考えられた。またさらにこれらのことを確認するためにCas-L欠損好中球およびCas-L欠損造血幹細胞を用いたホーミング実験を行った。その結果、Cas-Lを欠損した細胞においては脾臓へのホーミングが野生型の細胞に比べて増加する傾向にあったが、著明に増加しているといえるまでには至らなかった(論文投稿中)。現在、さらにCas-L欠損p210Bcr-Abl陽性細胞の分子メカニズムに関して解析中である。
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