2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄増殖性腫瘍の発症ならびに病型選択における分子機序の解明
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21790909
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 新 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40361331)
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Keywords | 原発性骨髄線維症 / 真性多血症 / 骨髄増殖性腫瘍 / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / STAT5 / c-Myc / 疾患モデル動物 |
Research Abstract |
(1)骨髄線維症(PMF)マウスの分子病態解析:過剰リン酸化STAT5A(STAT5A1^*6)遺伝子をレトロウイルスによって導入した造血幹細胞移植マウスを用いて、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一病型であるPMFの病型選択に関わるSTAT5A下流の分子の評価を行った。PMFマウスに特徴的に出現する小型異形巨核球を骨髄から分離して候補遺伝子の発現を定量し、コントロールマウスあるいは非PMFである真性多血症を呈するマウスとの比較を行った。PMFマウスではSTAT5A1^*6によりc-Mycの過剰発現が引き起こされることが明らかになり、その結果、巨核球赤芽球前駆細胞分画から巨核球への分化促進と同時に成熟障害が起こり、小型異形巨核球が増加することが示唆された。また、それらの小型異形巨核球が発現するTGF-β、VEGF、Oncostatin M等の分子が間葉系幹細胞から線維芽細胞への分化と異常血管造成を促進し、骨髄中の造血幹細胞ニッチを減少させ、正常造血幹細胞の機能低下をも引き起こすことが示された。 (2)STAT5A1^*6蛋白量調節システムによるMPN病型選択モデルの開発:STAT5A活性によるMPN病型の変化に関与する遺伝子群を網羅的に解析するために、STAT5A1^*6に薬剤性制御ドメインを付加した遺伝子を持つトランスジェニックマウスを樹立した。同マウスの線維芽細胞では薬剤依存性にSTAT5A1^*6蛋白量がコントロールされることが示され、現在はin vivoへの薬剤投与によるMPN発症を確認中である。 (3)MPNに対する分子治療モデルの開発:PMFマウスを用いて、STAT5阻害剤として報告があるpimozide(Nelson EA et al, 2011, Blood)の有効性を検討したが、明らかな治療効果を認めなかった。今後は間葉系幹細胞の線維芽細胞への過剰分化や血管新生を阻害する治療法の開発を検討する。
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Research Products
(5 results)