2010 Fiscal Year Annual Research Report
Spred-1の機能に着目した造血幹細胞及び白血病幹細胞ニッチの解析
Project/Area Number |
21790910
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田所 優子 金沢大学, がん研究所, 助教 (00447343)
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Keywords | 幹細胞 / 白血病幹細胞 / 幹細胞ニッチ / がん |
Research Abstract |
平成22年度は、造血幹細胞と白血病幹細胞およびそれらのニッチについて相違点を理解することを目的とし、1.白血病発症モデルマウス骨髄細胞との競合移植実験、2.慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の解析、3.Spred-1 KO造血幹細胞を用いた移植においてレシピエントに対する前処置軽減の検討を行なった。 1.白血病発症モデルマウス骨髄細胞の競合移植実験においては、白血病発症モデルとしてPtenコンディショナルKOマウスを用いSpred-1 KOマウス骨髄細胞との競合移植実験を行なった。移植細胞数の割合やPten遺伝子欠損のタイミング等検討を行なったが、Spred-1 KO骨髄細胞により白血病の発症が抑えられた個体があったもののPten KO由来リンパ腫の発症もあり、生存率等に有意な差は得られなかった。2.CML幹細胞の解析において、まず正常造血幹細胞との違いを調べるためにFACS解析を行なった。その結果、BCR-ABL陽性未分化骨髄細胞画分において正常造血幹細胞と同様にCD34陽性と陰性の細胞集団に分かれることが明らかになった。さらにこれらの細胞を分取し、コロニー解析と移植実験を行なった。コロニー解析の結果、CD34陰性画分では陽性画分に比べて多分化能を保持していた。また移植実験の結果、CD34陰性画分では長期にわたって正常な造血を行なうことが観察されたが白血病を発症する割合が低かった。この現象については、今後さらに詳細に解析しなければならない課題である。3.Spred-1 KO造血幹細胞を用いた移植においてレシピエントに対する前処置軽減の検討に関して、低放射線量の照射処置での移植を試みた。その結果、Spred-1 KO骨髄細胞では野生型に比べ優位に移植効率が上昇した。このことから、Spred-1の機能抑制は造血幹細胞移植において有効な手段として利用できることが期待された。
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