2010 Fiscal Year Annual Research Report
ETV6/FLT3融合遺伝子による造血器悪性腫瘍 発症機構の解析
Project/Area Number |
21790913
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菱澤 方勝 京都大学, 医学研究科, 助教 (90444455)
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Keywords | 白血病 / マウス / 融合遺伝子 / FLT3 / ETV6 |
Research Abstract |
我々は、患者の骨髄からt(12;13)(p13;q12)転座を同定し、この染色体相互転座からETS variant gene 6(ETV6;TEL)とFMS-like tyrosine kinase 3(FLT3)の融合遺伝子ETV6/FLT3を確認した。この染色体転座は、これまで一例の骨髄増殖性疾患で報告されているが、腫瘍化における役割についての詳細は解明されていない。融合遺伝子の全長をクローニングし、レトロウイルスベクターを用いてマウスの骨髄細胞に遺伝子導入し、同系マウスに骨髄移植をおこなったところ、移植後早期に致死的な骨髄増殖性疾患を発症した。一部のマウスではT細胞リンパ腫を併発し、これは実際の臨床像を反映するものであった。急性骨髄性白血病のしばしば見られる遺伝子変異FLT3-ITDは、ETV6-FLT3と同じくマウスの骨髄移植で骨髄増殖性疾患となる。FLT3-ITDではFLT3のチロシン残基の中でjuxtamenbrane domainのY589およびY591のリン酸化によるSTAT5の活性化が腫瘍化に必要であるが、mutantを用いたマウスの解析でETV6-FLT3ではこのリン酸化は腫瘍化に必須ではなかった。一方でadaptor proteinであるGrb2の結合の重要性が、同じくmutantを用いた解析で示唆された。Grb2ノックアウトマウスを用いて、骨髄移植による腫瘍化の有無を解析したところ、ETV6-FLT3による腫瘍化がノックアウトマウスでは起こらず、コロニーアッセイでもコロニー形成能が低下していた。このように、ETV6-FLT3の腫瘍化においてGrb2を解したシグナル伝達が重要であることが推測された。
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Research Products
(2 results)