2010 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球分化における新規インターロイキンー5受容体の役割の解明
Project/Area Number |
21790933
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石原 研治 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00312596)
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Keywords | 好酸球 / アレルギー / 分化 |
Research Abstract |
好酸球は気管支喘息などのアレルギー疾患の病態の進行に深く関与するエフェクター細胞である。インターロイキン-5(IL-5)は好酸球の分化・成熟に必須なサイトカインであるが、分化・成熟した後の好酸球にも作用し、同細胞を活性化したりアポトーシスを抑制したりする。これまでIL-5のターゲットとしてIL-5Rα(variants 1,4)鎖が同定され、IL-5の作用はすべてこの既知IL-5Rα鎖を介し発揮されるものと考えられていた。しかし、IL-5が好酸球に対し分化誘導作用を発揮する分子メカニズムに関しては既知IL-5Rα(variants 1,4)鎖では説明できない。 本研究ではヒト由来CD34陽性幹細胞を好酸球に分化させた時に発現する新たなレセプターを探索した結果、ヒトIL-5レセプター(IL-5R)α鎖の2つの新規splicing variantsを見いだし、variant 7(AB288089)およびvariant 8(AB288090)と命名して遺伝子データベースに登録した。Variants 7および8はそれぞれ978bpおよび636bpであった。また、この2つの遺伝子はヒト好酸球性白血病細胞株HL-60 clone 15細胞が成熟好酸球に分化する過程でも発現することが明らかになった。 本結果は、造血幹細胞から好酸球への分化機序を解明しうる可能性を持つものであり、好酸球の分化を抑制する薬物の開発につながるという意味において社会的な意義・貢献も大きい。
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