2009 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞アナジー誘導遺伝子関連新規制御性T細胞による経口免疫寛容誘導機序の解明
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21790940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 僚久 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任助教 (10528996)
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Keywords | 制御性T細胞 / 自己免疫疾患 / 臨床免疫 / IL-10 / LAG3 / Egr2 |
Research Abstract |
制御性T細胞は自己および外来性抗原に対する免疫寛容を誘導することで、自己免疫疾患発症抑制に中心的な役割を果たしている。強力な抑制性サイトカインIL-10は免疫恒常性維持に不可欠なものであり、IL-10を高産生する抗原特異的制御性T細胞として「T regulatory type I(Tr1)」(1997,Nature389,737-)が近年注目されてきている。しかしながら、Tr1細胞は人工的な誘導実験系で確認されているのみであり、その細胞表面マーカーやマスター遺伝子は不明なままであった。本研究にて、IL-10を高産生する新規の抗原特異的制御性T細胞を、CD4^+CD25^-LAG3^+T細胞として同定し、その分化・機能発現のマスター遺伝子が転写因子Early response gene-2(Egr2)であることをあわせて証明した(2009.Proc Natl Acad Sci USA ; 106(33) : 13974-)。本制御性T細胞は、無菌条件下飼育マウスでは著減していたが、卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞受容体トランスジェニックマウスにOVAを経口投与することで抗原特異的な増加を認めた。このことは、本制御性T細胞が経口抗原に対する免疫寛容誘導において重要な役割を果たしていることを示唆している。また、本制御性T細胞の養子移入は全身性エリテマトーデスのモデルマウスであるMRL/1prマウスの腎炎発症を抑制した。現在、抗体産生抑制における抗原特異性を検討するため、B細胞受容体、T細胞受容体ダブルトランスジェニックニックマウスの系を構築しており、今後は経口抗原に対する免疫寛容誘導にっき詳細な検討を行う。 CD4^+CD25^-LAG3^+制御性T細胞の機能解析は、ヒトにおける抗原特異的免疫抑制療法開発の大きな手がかりとなり得るものである。
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Research Products
(8 results)