2010 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞アナジー誘導遺伝子関連新規制御性T細胞による経口免疫寛容誘導機序の解明
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21790940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 僚久 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10528996)
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Keywords | 制御性T細胞 / 自己免疫疾患 / 臨床免疫 / IL-10 / LAG3 / Egr2 |
Research Abstract |
消化管は食餌抗原、腸内細菌に恒常的に暴露されながら、相反する免疫寛容と感染防御に関与しており、その独自の免疫寛容システム解明は抗原特異的免疫抑制療法の開発に繋がる。申請者は、抗原特異的免疫抑制能を有する新規CD4陽性CD25陰性LAG3陽性制御性T細胞(以下、LAG3 Treg)を同定した。T細胞アナジー誘導遺伝子Egr2は、LAG3 Tregのマスター制御遺伝子として機能する。また、LAG3 Tregは抑制性サイトカインIL-10を高産生する。本研究では、LAG3 Tregによる免疫抑制機序および、その誘導機序の解明を目的とし、下記2項目につき検討を行った。 (1)Egr2とIL-10産生関連遺伝子Blimp-1との相互作用:LAG3 TregはBlimp-1を高発現する。また、Egr2を遺伝子導入したCD4陽性T細胞では、Blimp-1の発現が誘導される。そこで、ChIPアッセイ、ルシフェラーゼアッセイを用いてEgr2がBlimp-1 promoter領域に結合することで、その転写を活性化することを確認した。 (2)経口免疫寛容誘導におけるLAG3 Treg誘導条件:鶏卵リゾチーム(HEL)特異的B細胞受容体トランスジェニックマウス(MD4)B細胞および、鶏卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞受容体トランスジェニックマウス(OT-II)CD4陽性T細胞をB細胞欠損μMTマウスへ共移入し、HEL-OVA結合抗原を経口投与することで、LAG3 TregがB細胞、T細胞の共通認識抗原により誘導されることを確認した。 本研究課題において、LAG3 Tregによる抗原特異的な免疫抑制機序が明らかとなり、その誘導にはB細胞との共通認識抗原の存在が不可欠であることが判明した。LAG3 Tregの養子移入はSLEモデルMRL/1prマウスの治療効果を示すことも確認しており、自己抗体産生を特徴とする難治性自己免疫疾患の新規治療法開発に繋がる可能性があると考えられた。
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Research Products
(7 results)