2009 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ関連タンパク質PAD4の生理機能とその分子機構の解析
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21790943
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 克彦 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (90528035)
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Keywords | PADI4 / リウマチ / シトルリン化 / エピジェネティクス / 造血幹細胞 / ペプチジルアルギニンデイミナーゼ |
Research Abstract |
関節リウマチ関連タンパク質PAD4は、主に骨髄で発現がみられる。また、白血病細胞分化に伴いその発現は変動する。そのため、骨髄において血球分化や機能に関与すると考えているが、その詳細な解析はない。そこで、PAD4ノックアウトマウス骨髄中の血球組成をFACSにより解析した。その結果、前駆細胞はほとんど変化ないが、造血幹細胞の割合が野生型マウスに比べて有意に増加していることが分かった。これまでに造血幹細胞におけるPAD4の発現や機能の報告はなく、新しい機能が推察される。 マウスPAD4をGST融合タンパク質として大腸菌から精製し、モノクローナル抗体を作製した。ELISA陽性を示す約30のハイブリドーマ上清をウエスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞染色でスクリーニングを行い、最終的に4種のモノクローナル抗体を得た。ひとつは骨組織パラフィン切片でも染色陽性が得られる非常に有用なものであった。この抗体を使い骨髄細胞を染色、FACSにより発現を解析した。その結果、顆粒球の分画では染色陽性を示すが、主にリンパ球を含む分画では陰性であった。この結果は、これまでの報告と一致している。一方、造血幹細胞(Lineage^-Sca-1^+c-kit^+)では、PAD4染色陽性が得られた。この結果は、造血幹細胞にPAD4が存在することをはじめて示唆する。 今後は、骨髄から造血幹細胞や血液前駆細胞をFACSによるソーティングで回収し、PAD4の発現などを詳細に解析する予定である。また、骨髄細胞移植により、ノックアウトマウスにおける造血幹細胞の増加が細胞内のイベントによるものか、幹細胞をとりまく微小環境(niche)によるものか明らかにする。
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