2010 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ関連タンパク質PAD4の生理機能とその分子機構の解析
Project/Area Number |
21790943
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 克彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90528035)
|
Keywords | PAD4 / シトルリン化 / 血球分化 |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)は、アルギニン残基をシトルリン残基に変換するタンパク質修飾酵素である。そのファミリーのひとつPAD4は、核に局在しヒストン修飾により転写を抑制する。また、関節リウマチとの関連が示唆されているが、その生理機能はよく分かっていない。本研究では、骨髄中の血球におけるPAD4の役割を明らかにするためにノックアウトマウスを用いて解析した。PAD4は骨髄、脾臓、末梢血好中球、単球で発現することが分かっている。最初に、骨髄での発現を詳細に調べるために、マウス骨髄から血球を採取し表面マーカー抗体によるFACSを用い、様々な血球前駆細胞を分離した。各細胞でのPAD4の発現をRT-qPCRで解析したところ、Lineage^-, Sca-1^+, c-kit^+ (LSK)細胞において、好中球同様の高い発現を示した。一方、骨髄球やリンパ球系の前駆細胞における発現は低いもしくは、ほぼ検出されなかった。このことから、LSK細胞は最も未成熟な血球、造血幹細胞と多能性前駆細胞であり、これらの細胞においてPAD4がなんらかの役割を担うと推察される。次に、PAD4ノックアウトマウス(PAD4^<-/->)と野生型マウス(WT)の骨髄における血球組成をFACSで解析した結果、WTと比較してPAD4^<-/->骨髄LSK細胞の割合が高いことが分かった。また、骨髄移植を用いた実験から、LSK細胞の増加は骨髄環境の影響ではなく細胞内因性によるものであった。さらにBrdUを用いた細胞増殖解析からも、LSK細胞の増殖亢進がみられた。マイクロアレイやChIP解析の結果から、この原因は、増殖に関わる遺伝子の転写がPAD4欠損により活性化したことによると考えられた。本研究成果は、血球分化・増殖における新しい制御のひとつを提唱した。
|
-
-
[Journal Article] Macrophage-derived AIM is endocytosed into adipocytes and decreases lipid droplets via inhibition of fatty acid synthase activity.2010
Author(s)
Jun Kurokawa, Satoko Arai, Katsuhiko Nakashima, Hiromichi Nagano, Akemi Nishijima, Keishi Miyata, Rui Ose, Mayumi Mori, Naoto Kubota, Takashi Kadowaki, Yuichi Oike, Hisashi Koga, Maria Febbraio, Toshihiko Iwanaga, Toru Miyazaki
-
Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 11
Pages: 479-492
Peer Reviewed
-
[Journal Article] The death effector domain-containing DEDD forms a complex with Akt and Hsp90, and supports their stability.2010
Author(s)
Nobuya Kurabe, Mayumi Mori, Jun Kurokawa, Kaori Taniguchi, Hisatoshi Aoyama, Kazuhiro Atsuda, Akemi Nishijima, Nariaki Odawara, Saori Harada, Katsuhiko Nakashima, Satoko Arai, Toru Miyazaki
-
Journal Title
Biochem.Biophys.Res.Commun.
Volume: 391
Pages: 1708-1713
Peer Reviewed
-