2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄混合キメラにおいてドナーT細胞の制御が自己反応性B細胞に及ぼす影響について
Project/Area Number |
21790950
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
竹内 恵美子 Kitasato University, 医学部, 助教 (00406935)
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Keywords | 骨髄移植 / 骨髄混合キメラ / 自己反応性細胞 / MHC拘束 |
Research Abstract |
本研究は、自己免疫疾患のある動物に骨髄混合キメラを導入すると、ドナー骨髄細胞由来のT細胞がTCR/MHC interactionによって自己反応性B細胞を抑制するということを明らかにすることを目的としている。その際T細胞は胸腺で正の選択によりホストのMHCに拘束されるので、ドナーのMHCがホストと完全に不一致であると、T細胞の制御からドナーのB細胞が漏れてしまい、新たな自己反応性B細胞がドナーの骨髄から発生することが懸念された。そこで、SLEのモデルであるBXSB mouseにMHCの異なる様々なドナーから骨髄移植を行いその効果を比較した。その結果、i)遺伝的に正常なマウスの骨髄から発生したB細胞でもBXSBというlupus prone mouseの体内環境におかれると何らかの因子により自己反応性になりうる、ii)各種骨髄移植の実験から、正常骨髄から分化した細胞にauto-immune stateを是正する能力がある、iii)ただし、それにはTCR/MHCを介したT/B interactionが全てのB細胞との間に保たれていることが必要である、ということがわかった。つまり、骨髄混合キメラを作ると自己反応性B細胞ができなくなるのではなく、新たにできてきた自己反応性B細胞をT細胞がTCR/MHC interactionを介して刈り込めるようになり、疾患が治癒す灸と考えられた。さらに、BXSBに自己抗原と相同性のあるallo抗原を免疫するとallo抗原交差反応性自己抗体が上昇することがわかっていたが、T/B interactionが保たれる組合せのキメラマウスでは自己抗体の産生を抑制することができた。これに対し、MHC完全不一致キメラでは交差反応性自己抗体は上昇し続け、新たにできた自己反応性B細胞を刈り込むシステムがあるという仮説をさらに裏付ける結果となった。
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