2010 Fiscal Year Annual Research Report
MDRPに対する院内感染防止対策?伝播の制圧、耐性化機序の解明と治療戦略?
Project/Area Number |
21790962
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
吉澤 定子 東邦大学, 医学部, 講師 (80424703)
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Keywords | 多剤耐性緑膿菌(MDRP) / 院内感染対策 / 接触感染対策 / 抗菌薬選択圧 / 耐性化機序 / 抗菌薬適正使用 / 2剤耐性緑膿菌 |
Research Abstract |
本研究では、MDRPに対する院内感染制御として、耐性機序に基づいた院内感染対策を実践した。MDRPの感染対策として、接触感染対策と抗菌薬適正使用の双方の重要性が示唆されている。MDRPは尿検体からの検出が多く、尿を介した接触感染対策が重要である。当院では一昨年度より蓄尿環境の改善に取り組み、H22年度に全病棟で毎回新しい採尿カップを使用するシステムが整った。抗菌薬適正使用の推進活動としては、カルバペネム系抗菌薬とグリコペプチド系抗菌薬は院内電子カルテを用いて全数届出制とし、起炎菌検索のための培養提出の有無と投与目的の記載を必須として起炎菌に基づいた適切な感染症治療を行うようシステムを構築した。また、院内ポケットマニュアルに主要菌のアンチバイオグラムを掲載し、エンピリックセラピーの情報源として利用できる環境を整えた。さらに、感染予防策を円滑に実践できるように、耐性菌検出患者およびその家族に対し、感染対策が必要である旨を説明する文書を作成し運用を開始した。個室隔離患者では、必要な感染対策を明示し周知徹底した。また、各部署で耐性菌検出が院内基準を超えた際には警告文を送付し、原因の追及と対策を現場で検討し改善策を立案するシステムを構築した。耐性菌検出患者に対する院内ラウンド強化としては、MDRPやメタロβラクタマーゼ産生菌が検出されている患者は全数ラウンドし、感染対策遵守状況の確認を行った。 一方、耐性機序に関する検討としては、抗菌薬使用方法と緑膿菌耐性化の関連性について検討を加える目的で、同一症例において2剤耐性緑膿菌およびMDRPの双方が検出されている場合に後方的に疫学調査を行った。さらにPFGEによる検討を開始し、MDRP耐性機序の解明を試みている。MDRPの前段階としての2剤耐性緑膿菌の検出の意義、さらに抗菌薬使用方法と耐性化の関連性についてさらなる検討を加える予定である。
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