2009 Fiscal Year Annual Research Report
体液性免疫または細胞性免疫応答の初期誘導と維持におけるケモカインの役割の解析
Project/Area Number |
21790963
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 ゆり子 Toho University, 医学部, 助教 (40396685)
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Keywords | T細胞プライミング / ケモカイン / pltマウス |
Research Abstract |
本研究では、体液性免疫と細胞性免疫応答を同時に誘導できるリポソームアジュバントを用いて、抗原特異的T細胞の反応におけるケモカインCCL19とCCL21の役割について検討した。BALB/cマウスにリポソーム結合ニワトリ卵白アルブミン(liposome-OVA)を皮下免疫すると、OVA特異的な抗体産生が認められるが、ケモカインCCL19とCCL21-serの発現を欠損する突然変異マウス(plt)では、野性型マウスに比べて抗体産生が増強していた。また、免疫後13週目には、野性型マウスの抗体産生能は低下したが、pltマウスでは高い抗体産生能を維持したままであった。一方、liposome-OVAペプチド(I-A^b拘束性CTLエピトープ)を免疫すると、免疫後1週目に、野性型マウスでOVAペプチド特異的なCD8陽性細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導されたがpltマウスでは誘導が抑制されていた。さらに免疫後12週目、野性型マウスではメモリータイプのCTL活性が維持されていたが、pltでは低下していた。同様の検討をCD4陽性T細胞に対する抗体をマウスに投与してCD4陽性T細胞除去マウスを用いて行なったところ、免疫後10週目のCD4陽性T細胞除去群においても野性型マウスでは、無処置マウスと同様にCTL活性が維持されていた。また、pltマウスでは、アジュバントを用いないOVAのみの免疫でも、抗体産生と抗原特異的なT細胞のプライミングが起こることが示唆される結果が得られた。以上の結果より、ケモカインCCL19とCCL21は抗原特異的T細胞の初期免疫応答と、メモリー細胞の誘導にも重要な役割を果たしていることが示唆された。
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