2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト尿中からのヒト腎臓組織幹細胞の単離培養と同細胞の分化・器官形成能の検討
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21790966
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 直憲 東北大学, 病院, 助教 (40400329)
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Keywords | 尿中落下細胞 / 腎疾患 / 小児 / 腎臟組織幹細胞 / 腎臟間葉系幹細胞 / side population cell / フローサイトメーター / 腎臟再生医療 |
Research Abstract |
本研究期間において、まず小児腎疾患患者尿より腎臓組織幹細胞が分離培養可能かどうか検討し、次いで得られた幹細胞の分化能の検討をった。腎臓組織幹細胞の候補として1)CD24陽性CD133陽性Podocalyxin (PDX)陰性細胞、2)CD133陰性CD146陽性細胞3)Side population (SP)細胞を検討した。尿中落下細胞培養はIgA腎症、Alport症候群、紫斑病性腎炎等の小児腎疾患患者で尿所見異常のある患児の尿より細胞培養を行い、高い確立で培養細胞が得られた。 1)培養細胞中にはCD24陽性CD133陽性Podocalyxin (PDX)陰性細胞が存在し分離培養可能であり、同細胞は培養条件を変更することにより糸球体上皮細胞や尿細管細胞へ分化する傾向が認められた。2)培養細胞中には特殊染色により骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞の形質を示す細胞が存在することが判明した。これらの細胞の共通の起源として腎臓間葉系幹細胞であるCD133陰性CD146陽性細胞を想定し検討したところ、同細胞は培養尿中落下細胞中に存在し分離培養可能であり、培養条件を変更することにより骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞へ分化する傾向が認められた。3)培養細胞中には、Hoechst色素を用いた検討から多分化能を持つと考えられるside population cellと考えられる分画が認められた。 以上より小児腎疾患患者尿からは各種細胞へ分化可能な腎臓由来の各種の幹細胞の培養が可能であると考えられた。尿からは全く非侵襲的に必要なだけ自己の幹細胞を採取できるため同細胞を用いた再生医療への応用が強く期待できる。現在これらの細胞を用いたin vitroでの腎臓再生医療への応用の検討を行っている。
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