2010 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的手法を用いた先天性奇形症候群の病態解明とその臨床応用
Project/Area Number |
21790970
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本村 あい 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40511465)
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Keywords | 先天性奇形症候群 / Noonan症候群 / 結節性硬化症 / SNP array / 卵巣がん / 神経膠腫 |
Research Abstract |
先災性奇形症候群の一部は悪性腫瘍を高率に合併することが知られているが、その発症メカニズムは不明である。そこで本年度は卵巣がんを合併したNoonan症候群および神経膠腫を合併した結節性硬化症の患者検体より抽出したDNAを用いてSNPアレイによる網羅的ゲノム解析を行い、発症メカニズムの解明を試みた。まず、患児の末梢血液試料および腫瘍組織から抽出したゲノムDNAを適切な制限酵素で消化し、断端に共通のアダプターを付加した後、GeneChip 250k array(CNAG/AsCNAR)でゲノムコピー数の解析を行った。その結果、卵巣がんを合併したNoonan症候群に関しては患者由来の正常検体および腫癌検体ともに大きな領域のゲノムコピー数の異常は検出されなかった。従って、本症例の腫瘍化のメカニズムとしては、Noonan症候群の発症に関与するRAS経路の異常に加えて、特定の遺伝子の微細な欠失、増幅もしくは変異が関与している可能性が示唆された。また結節性硬化症に合併した神経膠腫では1q、2p、5q、9p、13pの片親ダイソミー、14q、16qのgainなど複数のゲノム異常が検出された。これらの異常は通常のsporadicな神経膠腫のゲノムコピー数の異常としては非典型的なものであった。これらのゲノム異常がみられた領域には神経膠腫と結節性硬化症の発症に関与する遺伝子群が存在する可能性が示唆された。Noonan症候群に白血病や神経芽腫などの悪性腫瘍が合併することが知られているが卵巣がんの合併は極めて稀である。また結節性硬化症に過誤腫などの良性腫瘍が合併することは知られているものの、神経膠腫のような悪性脳腫瘍が合併することはこれまで報告がない。従って、これらの貴重な症例のゲノム解析により先天性奇形症候群と発がんのメカニズムに関する新たな知見が得られるものと期待される。
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[Presentation] 小児卵黄嚢腫瘍の微小再発巣や遠隔転移巣検出におけるFDG-PETの有用性2010
Author(s)
高橋正貴, 金森豊, 鈴木完, 小高哲郎, 寺脇幹, 古村眞, 杉山正彦, 本村あい, 滝田順子, 井田孔明, 岩中督
Organizer
第26回日本小児がん学会学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20101217-20101219
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[Presentation] Refractory Ewing Sarcoma family of tumors in a child with EWS-FEV fusion gene.2010
Author(s)
Motomura A, Takita J, Nishimura R, Ohki K, Ohkubo J, Ida K, Kikuchi A, Okita H, Ogawa S, Igarashi T
Organizer
The 6th Congress of Asian Society for Pediatric Research & 51st Annual Meeting of Taiwan Pediatric Association
Place of Presentation
Taipei, Taiwan
Year and Date
20100415-20100418
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[Presentation] 急性リンパ性白血病の加療中に肺動脈塞栓症、肺アスペルギローマを合併し1期的に切除しえた1例2010
Author(s)
村山智紀, 小林宏彰, 土屋武弘, 日野春秋, 長山和弘, 村川知弘, 中島淳, 森岡まさき, 中釜悠, 本村あい, 滝田順子
Organizer
第154回日本胸部外科学会関東甲信越地方会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2010-11-13